
3期目出馬に知事「白紙」 県政成果と課題直言 任期残り1年へ方向性示す
【那覇支局】玉城デニー知事は29日、知事第一応接室で県政記者クラブによる合同インタビューに臨んだ。任期残り1年を前に、これまでの成果や課題、3期目出馬の意向、基地問題、戦後80年関連施策、ワシントン事務所や交通政策、GW2050プロジェクトへの対応など幅広いテーマについて1時間にわたり答弁。県政の成果と残された課題、出馬意向や基地問題など、県民の関心が高い論点について知事が見解を述べ、県政の方向性を直接示した。
知事は3期目出馬については「現時点で白紙」としつつ、「残り任期で公約実現に全力を尽くす」と答えた。「オール沖縄」については「県民が幅広く力を合わせる枠組みであり、未来の沖縄に欠かせない」と述べた。
今後の重点政策では、県民所得向上を軸とした産業DX推進やスタートアップ育成、宿泊税導入による観光地整備、文化芸術基金の活用、農林水産業の高付加価値化、小規模離島の振興を挙げた。
基地問題では「辺野古新基地建設反対の民意は変わらない」と改めて表明し、環境・地盤問題を含め引き続き注視すると述べた。
子ども施策に関し、「沖縄県子ども・若者計画」策定や学校給食無償化に向けた取り組み、児童相談所職員の増員、子ども未来部設置などを挙げ、「誰一人取り残さない施策を推進してきた」と強調。さらに差別のない社会づくり条例制定、平和地域外交推進課設置、首里城復興、戦後80周年事業への対応なども成果として語った。
戦後80年に向けては国際平和研究機構の創設、戦争遺跡群の保存・世界遺産登録、核軍縮・核兵器廃絶に取り組む姿勢を示した。
また、閉鎖中のワシントン事務所については「透明性の高い体制を前提に再開を検討する」との考えを表明。交通政策では鉄軌道導入に向け調査を進めるとともに、次世代交通ビジョン策定を進めていることを説明した。
同プロジェクトについては「沖縄21世紀ビジョン基本計画との整合性を重視し、持続可能な発展につなげたい」と語った。
県政の方向性を多面的に示す今回のインタビューは、来年の知事選を見据えた県民への重要なメッセージとなった。