
「子どもの可能性を拓く」 市議会定例会 教育長、ビジョンを再確認
開会中の宮古島市議会9月定例会一般質問で池城健氏と平良和彦氏が相次いで教育問題を取り上げ、市教育委員会の姿勢をただした。宮城克典教育長は、自らの教員時代を振り返りながら「安全で安心できる教育環境整備が児童生徒の学びと教職員の働きやすさに直結する」と述べ、予算拡充と制度改善の必要性を改めて示した。また全国学力調査で見えた課題改善や非認知能力の育成を今後の重点に掲げた。
市は2025年度当初予算で教育分野は9・8%(石垣市は8・2%、糸満市8・4%、南城市13・8)を確保とし、資格検定全額補助の上、再挑戦支援も補助対象に拡充。文化・スポーツ派遣に宿泊費も補助対象とするなど支援継続への意思を示した。
宮城教育長は所信の「子どもたちの可能性をひらき、未来の宮古島市を担う人材を育てていきたい」について「新しい分野に進むという意味で拓(ひら)くとする」と改めて強調。「グローカル(グローバルとローカル)な人材育成が未来の宮古島につながる。島を出ることが是というのではなく、広い視野と志を持つことが重要」との持論を唱えた。
池城氏は教職員の勤務環境の負担についても取り上げた。教職調整額について「教員らは休日出勤、月40時間以上の残業でも支給は4%。民間の時給換算で300円程度にとどまる」と厳しい現状を説明。教職調整額は教員には残業手当がないことから、職務の特殊性を包括的に評価し、給料に上乗せして支給される給与制度。
その上で「10%に引き上げたとしても時給換算700円ほど」と単なる調整額の現行引き上げでは限界があると訴え、業務削減や学校運営効率化を含めた総合的な働き方改革が不可欠だと強調。県内の全教職員の声を結集し、県や国へ制度改善を強く働きかけるべきだとの考えを示した。
平良氏は全国学力・学習状況調査(4月実施)を踏まえ、市の小中学校の結果が県平均並みである一方、算数・数学は全国比で約10ポイントの差があると指摘し、今後の考えを質した。教育長はポイント差は許容範囲とするも、「粘り強く問題を解こうとする意思に課題があった。そういった非認知能力を重視し、教育ビジョンに反映する」と答弁。「その一方で全国質問書のうち、教員たちが良いところを褒めているかとの問いには小学校児童からの回答が全国92・1に比べ、96・3ポイント。中学生の生徒からも97・3ポイントだった」と現場教諭らの取り組みと努力をたたえ、今後も支援を強化し、学習状況継続的な調査、課題改善につなげる考えを明らかにした。