
「ミャークヅツ」開幕 宮古の男祭り
旧暦9月の甲午(きのえうま)の日に当たる22日、池間民族の池間、西原、佐良浜の3地区で伝統行事「ミャークヅツ(宮古節)」が始まり、それぞれアラビ(初日)の祭りが執り行われた。宮古では数少ない男性を中心にした祭りで、ウヤと呼ばれる男性らが各ムトゥで酒を酌み交わしながら、子孫繁栄などを祈る。池間では三日間、佐良浜では四日間にわたって催されるほか、西原ではきょう23日、集落内の広場で奉納角力やパレードが盛大に行われる。
◆西原地区
ナナムイウヤ結束誓う 48~55歳集い祈願
西原自治会のミャークヅツは22日朝、仲間(ナイカニ)御嶽で始まり、24日まで続き、区民が代々受け継いできた信仰と結束を確認する日々となる。この日は曇り空の下での開催となったが、48~55歳のナナムイウヤら多くの住民が集まり、酒を酌み交わし祖先を供養し、五穀豊穣や子孫繁栄、健康を祈願。厳かな雰囲気に包まれた。
初日は午前8時に始まり、仲間忠自治会長、西原みどり会の伊良部和則会長があいさつした。マスムイウヤ紹介では寄川信一さんが代表して登壇し、地域の繁栄と結束を祈願。ナナムイ長老ウヤ紹介では、濱川武寿さんが代表してあいさつし、長老の知恵や経験を若い世代へ受け継ぐことの大切さを語った。さらに高齢者の紹介や会計報告も行われ、一体となって地域の歩みを振り返る場となった。
同御嶽には各家庭から料理や泡盛が持ち寄られ、1~2年のウヤらが酒などの準備に忙しなく、祝宴の場で盃を交わしながら長老ら先輩ウヤにあいさつに回った。
2日目の「ナカビ」となるきょう23日は「マスムイ」が行われ、早朝から1年間で生まれた子どもの名前をウヤらが神さまへ報告する。午後からは同御嶽を出発し、集落内を練り歩くパレードや、クイチャー、奉納相撲で御神前を楽しませる。
◆池間添・前里添
佐良浜の団結と文化継承 モトムラ22人とナカムラ21人
佐良浜地区「ミャークヅツ」は池間添(モトムラ)と前里添(ナカムラ)2つの共同体に分かれて進められ、モトムラでは数え47歳、ナカムラでは数え50歳の男性が「ミーウヤ(新親)」として参加した。ミーウヤを中心にクイチャーが繰り広げられ、屋台も並ぶにぎやかな雰囲気の中、地域の繁栄と文化継承を願う声が響いた。
ミーウヤはモトムラの会長・伊良皆紀寿さんをはじめ22人、前里添ナカムラの会長・仲間誉人さんを含む21人が中心となり、住民らとともに「ヒヤサッサ」のかけ声でクイチャーを踊り、汗を流しながら盛り上がった。
伊良皆会長は「先輩方から引き継いだ絶やしてはいけない伝統文化。同級生22人とナカムラの21人が一致団結し、女性陣の助けを借りながら楽しくやっていきたい」と笑顔を見せた。
仲間会長も「やっと本番を迎えられた。伝統文化を継承し、大好きな佐良浜の人々、同級生や先輩方、女性陣の力を借りながら4日間を楽しみたい」と意気込みを語った。
ミャークヅツは年寄りの仲間入りを意味する「2度目の成人式」として行われる重要な儀礼であり、地域の繁栄と結束を願う行事。佐良浜に再びにぎわいを創出し、地域文化の力強い継承を象徴する場となった。


◆池間島ウヤら
クイチャー奉納 4つのムトゥで祈願
池間島のミャークヅヅは真謝(マジャ)、上げ桝(アゲマス)、前ぬ屋(マイヌヤー)、前里(マエザトヌ)と呼ばれる4つのムトゥ(元)の数え55歳以上の男性らが祈願などを行い、午後からは池間公民館隣の水浜広場でクイチャーを奉納し、子孫繁栄と五穀豊穣を願った。
ミャークヅツは24日まで行われる。初日は各ムトゥで早朝から男性らが集まり、踊りや酒を酌み交わしながら互いの健康と無病息災を祈念した。
午後4時ごろから始まったクイチャー奉納では、池間自治会の仲間広二会長があいさつしたあとツカサンマ(神女)が祈願し、各ムトゥのウヤらにあいさつした。その後広場中央の「ミャークヅツ豊年祭」ののぼりの回りを踊ると各ムトゥのウヤらも加わった。島内のほか宮古島、沖縄本島、本土からの参加者が笑顔で踊り、故郷の祭りを楽しむ姿が見られた。
クイチャーの輪には、最初見守っていた住民や観光客らも加わり、熱く踊る男性らとともに踊った。どの顔も笑顔で伝統祭祀のミャークヅツの体感に満足した表情を見せた。
前ぬ屋(マイヌヤー)の平安山悟さん(62)は東京から参加した。18歳で島を離れた平安山さんだが、ミャークヅツへの参加は欠かさないという。「島にとっては大事な祭祀であり、今年も参加して良かった。先輩や後輩らとも会えてうれしい」と語った。
仲間会長は「新しいツカサが生まれてのミャークヅツとなり、継承されていくことがうれしい。(参加者らは)みんな楽しそうでお互いの健康長寿を祝った。3日間祝い、これからも健康に注意して過ごしてほしい」と語った。
