定例記者会見で地下水保全対策プロジェクトチームの設置を報告する嘉数市長 =市役所

地下水保全対策チーム設置 庁内組織、横断的に対処 市民に安心安全な提供へ

 嘉数登市長は、5日の定例記者会見でネオニコチノイド系農薬をはじめとする地下水保全に係る諸課題に総合的・横断的に対処する庁内組織として「地下水保全対策プロジェクトチーム」を8月28日に設置したと報告した。チームは対処方針を協議する部長会議、課題整理や施策調整などの実務を担当する担当課会議の2段構成。嘉数市長は「市民団体等から提起されている問題などを深掘りし、丁寧かつ迅速に対応していくことで安心安全な市民生活と経済活動の基盤となる地下水保全に努めていきたい」と述べた。
 同チームは、部長会議が環境衛生局長、水道部長、農林水産部長、教育部長、企画政策部長、総務部長からなり、担当課会議は環境衛生局長と環境保全課、水道総務課、水道工務課、農政課、学校教育課、企画調整課、財政課で構成される。
 所掌事務は▽地下水保全に係る基本的事項の情報共有および共通認識形成▽地下水保全に係る課題の整理▽関係部局の施策の調整および実施状況の確認▽関係団体および市民等との意見交換ならびに情報発信―などとなっている。
 市は、地下水についての市民団体からの健康被害への指摘や市民からの不安を受けて3月に地下水と農業振興に関するシンポジウムを開催した。活発な意見交換にいろんな反響があるなかで「市民にも情報提供しながら議論しなければならない」として8部局12課の職員からなる同プロジェクトチームを立ち上げた。
 嘉数市長は「市民の中には不安視する声が強い。予防原則という話があるが、行政で進めていくためには論拠となるデータを整理していかなければならない」と強調。その上で「この問題ははっきり見えていない部分があるのでいろんな角度から、どう対処すればいいのかを議論していきたい」と述べた。
 また「活性炭処理施設を導入すればクリアできるという声もあるが、これを整備すると水道料金に跳ね返ってくる。水道料金や諸々の対策に係るコストも検証し、その都度、市民に情報提供しながら進めていきたい」と慎重に取り組んでいく姿勢も見せた。
 来年2月に予定しているという専門家も交えた2回目のシンポジウムでは、市の関係部署が持っているデータをどう読み解いていくか、どう影響が出るかなども検証していく考え。
 同プロジェクトチームのゴールは決めていないとのことで、「3月のシンポジウムがスタートライン。(今回の)チーム設置で一歩踏み出し、次のステップ、次のステップへと段階を踏み、市民に安心して水を使っていただけるような環境を提供していきたい」とも述べた。

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