
中山・砥板氏の一騎打ちへ 石垣市長選 失職からの挑戦迎え撃つ 長期政権の是非を審判
10日の告示まで1週間を切った石垣市長選挙は、前市長の中山義隆(なかやま・よしたか)氏(58)と元市議の砥板芳行(といた・よしゆき)氏(55)による事実上の一騎打ちとなる見通しが固まった。出馬を表明していた市議の箕底用一(みのそこ・よういち)氏(44)は4日夕、選挙構図や勝機の見通しなどを踏まえて出馬を断念。立候補取りやめに伴い、与党系が擁立した中山氏と、野党系が擁立した砥板氏との事実上の一騎打ちの構図となり、政策や姿勢の違いが明確に問われる。17日投開票。
中山氏は、6月の石垣市議会で不信任決議を受けて29日付で市長職を自動失職。出直し選挙への出馬を早期に表明した。4期15年の実績を掲げ、「石垣の発展を止めない」と継続を訴える姿勢を貫く。尖閣諸島への対応や自衛隊配備容認など、国との連携を重視した保守市政の継承を訴える。
一方の砥板氏は「政治の信頼回復」を掲げて中山市政との対決姿勢を強調。長期政権批判を軸に、暮らしの再建や議会との信頼関係の再構築を訴える。自民党推薦を受けた中山氏に対し、市政刷新を求める無党派層の支持取り込みを図る構えだ。
3人目の立候補予定者だった箕底氏は、複数回にわたる候補者調整の末に出馬を断念。「三つどもえでは勝機が遠のく」と語り、政策上の違いから砥板氏との合流にも至らなかった。自身は中立を貫きつつ、「これは敗退ではなく決意の出発点」と将来の再挑戦に含みを持たせた。
今回の市長選では、不信任決議に至った文書改ざん問題や行政手法への評価、多選の是非、安全保障政策への姿勢などが主な争点となる。7月末には保守系有権者による「一本化を求める会」も立ち上がるなど、候補者調整をめぐる動きが活発だったが、最終的に対立構図は避けられなかった。
市長選と同日には市議補選も実施される。告示日まで数日を残し、各陣営は最後の体制整備を急いでいる。