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午前の部に行われた平和展関連講話 =15日、市総合博物館・研修室

語られる戦争体験の継承 「未来を創る君たちへ」 平和の意義語る

 宮古島市総合博物館は15日、開催中の平和展「未来を創る君たちへ」の関連講話「『平和』って?~思いをつなぐ今、未来~」を同館研修室で開いた。宮崎と沖縄で活動を続ける語り部グループ「南の風」代表の常磐泰代さんが講師を務め、午前は小中高生、午後は一般向けに語りを行い、戦争体験の継承を通じ、平和とは何かを問い直す貴重な機会となった。
 同博物館は宮古島市の市制20周年記念事業として平和展を慰霊の日の今月23日まで開催している。
 戦争体験者が少なくなる中で、今を生きる世代が平和の意味を再確認する狙いで子どもと大人が平和を考える場として、語り部の体験から学びを深めることを目的に講話を開いた。
 子どもと大人それぞれに向けた2部構成で実施し、午前の部は小学5年生から高校3年生を対象に、午前10時から。戦時中の子どもたちの暮らしや心情について語られた。
 そのうち午前の講話では、戦時中に使われた「よせがき」や「千人針」などの実物も紹介され、参加者は実際に手に取って戦争の空気に触れた。
 常盤さんは「『日本は勝つ』と信じられていた背景には、徹底した軍国主義教育があった」と述べ、当時の算数の教科書に描かれた戦闘機の数の偏りなど、教育現場での洗脳的な指導についても語った。
 また、特攻隊や学童疎開の実情、宮崎空襲、対馬丸事件などについても詳しく触れ、映像資料を用いて機銃掃射の様子なども再現。2024年10月に宮崎空港で発生した不発弾の爆発を例に、「戦争は過去のことではなく、今も続いている」と訴えた。
 当時の「ぜいたくは敵」「絶対帰ってきて」など、その時代に生きた人々の切実な言葉や暮らしの記憶を交えながら、常盤さんは「先人の思いを受け止めながら、自分の権利を大切にして、好きなことをのびのびと伸ばしていってほしい」と語りかけた。
 講話後には、参加者から「戦争はとても怖いものだと改めて感じた」「疎開して沖縄に帰ったあと迎えにきてくれる家族がいないのは悲しいと思った」といった感想が寄せられた。
 午後2時からは一般向けに常盤さんがこれまでの活動を通じて直面した葛藤や課題、「伝える」「つなぐ」ことの難しさと意義が語られた。

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