
壕群を通じて平和学習 市歴文資料館「慰霊の日」関連企画展 戦時の生活や記憶継承 遺跡から学ぶ観光資源に
戦後80年「慰霊の日」関連企画展「新たな戦争遺跡展」が4日から旧砂川中学校の市歴史文化資料館で始まった。市教育委員会による地域の特色ある埋蔵文化財公開活用事業の一環で、これまでの調査で確認された戦争遺跡に加え、3月に新たに判明した遺跡群を初めて公開し、戦争遺跡の保存と継承を目的に実施。入館無料となっており、8月31日まで開催される。
4日、同資料館で説明会が開かれ、市教委文化財係の久貝弥嗣さんが展示の趣旨や調査の経緯、最新成果について説明した。
市教委では2017年度から市内の戦争遺跡分布調査を実施した。これまでの報告書3冊をまとめ、今回は「補遺編(第4冊)」に基づき、同企画展を構成したという。
企画展では「長南陣地壕群Ⅰ・Ⅱ」「宮原スナの壕群跡」「イリノソコの陣地壕群跡」など特徴的な遺跡の出土資料や写真を紹介している。
久貝さんの説明によると宮古島には今も多くの戦争遺跡が残されているとのことで「戦争の記憶を風化させず、平和学習や観光資源としても広く活用していきたい」と語った。
また、長南陣地壕群については当時の木材を用いた柱や梁の構造が良好に残存し、柱根元の木製品や円筒状の加工品など貴重な遺物が確認されたという。また、壕内の構造写真や調査報告資料も公開されており、当時の工法や戦時の状況を具体的に学ぶことができると強調した。
そのほか、「洲鎌ハイタナチ子の壕群」「添道棚原の壕」「上野ナベアマの壕群とトーチカ」「伊良部島南海岸の壕群補遺」など島内各地に残る多様な壕が紹介されている。
壕の規模や工法、用途の違いが一目で比較でき、戦争遺跡の地域的な特色や歴史的背景が理解できる展示内容となっている。
同資料館(℡77・4506)の開館は水曜~日曜の午前9時~午後4時30分(入館は同4時まで)。休館は月曜、火曜、祝日となっている。