
保育に心理学活かす 講師の内山氏 個性、遊びの経験を強調 市職員研修会
2025年度宮古島市保育施設職員全体研修会が5日、市役所で行われた。内山敏氏(聖隷クリストファー大学国際教育学部こども教育学科准教授)が「理解しよう!どの子にもある得意と苦手 気づこう!保育者にもある思考の癖」の演題で講話。保育と心理学を中心に紹介した内山氏は心理学で「理解する得意と苦手」などを説明し、「子どもとのコミュニケーションは言葉よりも表情や口調などが伝わりやすい」と話した。

内山氏は、冒頭に「心理学と保育は相性が良く、心理学は保育に役立つ」と述べ、講話ではスクリーンに缶のコーラを映し出し、「赤い記憶やイメージで(色は)赤いと見えるが、そこは思い込みで赤く見えている。人によって見える所や見ている部分が違う所も分かる」など思い込みによって起こる認識の違いを強調し、「みんな同じでなく一人ひとり違う。子どもたちも別の発想で見ているかもしれない。一人ひとりの個性を明らかにしていくのが心理学である」と参加者の興味を引いた。
心理学で理解する得意については「やろうと思えばストレスなくすぐにできて、しかも良い結果が出やすいようなこと」で、苦手については「時間がかかるわりにはうまくできなかったり、エネルギーを取られて疲れるようなこと」と紹介した。
その上で発達障害による苦手さは視覚や聴覚などの感覚にあることが多いと解説し、それを克服するためには▽感覚に訴えるグッズを利用する▽予定を見せる▽時間も見える化する▽入れるものを表示する―なども紹介された。
子どもとのコミュニケーションのロールプレイとコピーのワークでは職員らが4、5人で行い「聞く」コミュニケーションと「聞かない」コミュニケーションでの違いを体感させた。
それによるとコミュニケーションは言葉だけでは成り立っていない「メラビアンの法則」では言語情報は7%しかなく、視覚情報が55%、聴覚情報が38%と説明し、視線や姿勢、表情、音色、相づちによるコミュニケーションを大事にすべきと強調。また、子どもは褒めることが大事とも語り、ポイントは「結果まで待たず過程を褒めること」だという。
最後には「保育や発達支援の目標は子どもが将来社会的自立と心身の健康を自己選択できるようになることの種蒔き。身辺の自立、基本的なコミュニケーション、危険の認識と回避などを遊びで経験させることが保育である」と述べた。