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100年耐久性検証プロジェクト講演会で耳を傾ける参加者 =市未来創造センター多目的ホール

100年余供用、維持へ 調査・研究取り組み発表 伊良部大橋開通10周年記念 離島架橋耐久性検証の講演

 伊良部大橋開通10周年記念「離島架橋100年耐久性検証プロジェクト講演会」(県、土木研究所など主催)が30日、市未来創造センターで行われた。塩害環境下における橋梁を100年余供用、維持するための各関係機関の調査・研究の取り組みが紹介された。伊良部大橋は過酷な塩害環境に塩分浸透抑制などフライアッシュコンクリートの利用や外観のひび割れに対応すべく、強度特性、耐久性の追跡調査をしていることを説明。今後に向けては世界的にも類似例のない研究フィールドとして臨床研究を継続していく考えを示した。
 同プロジェクトに関する協定は県、土木研究所、県建設技術センターが離島架橋の健全度調査を相互に協力しながら実施し、コンクリートの耐久性や劣化予測に関する基礎データを取得・分析することにより、塩害環境下で100年余供用するための維持管理手法の確立を図るとともに諸技術基準の確立を資することを目的としている。
 主催者代表であいさつした石田雅博氏(土木研究所構造物メンテナンス研究センター橋梁構造研究グループ長)は「伊良部大橋は住民の生活向上、地域経済の発展に寄与するだけでなく土木技術の観点からも100年の橋梁を目指して先進的な取り組みとして全国から注目されている。長期耐久性への最新の技術やノウハウなどの情報交換で認識を深めていただきたい」と述べた。
 講演では中村英佑氏(土木研究所構造物メンテナンス研究センター上席研究員)が「伊良部大橋における臨床研究の取り組み」で発表した。
 塩害の観点から見た特徴は▽極めて過酷な環境▽フライアッシュコンクリートを利用(塩分浸透抑制、温度ひび割れ対策など)▽追跡調査用のコア採取を目的としたかぶりの増厚―などと紹介。追跡調査は外観(ひび割れ等の変状の有無の目視調査)、強度特性(圧縮強度の調査)、耐久性(強化物イオン浸透と中性化の調査)を行っていることも説明した。
 このほか富山潤氏(琉球大学工学部工学科社会基盤デザインコース教授)が「沖縄県のコンクリート構造物の劣化と使用骨材の変遷」、比嘉正也氏(県建設技術センター試験研究部主任技師)、風間洋氏(アール・アンド・エー代表)が「伊良部大橋暴露11年目追跡調査結果」、鬼塚晶基氏(県宮古土木事務所道路整備班主任技師)が「伊良部大橋及び池間大橋における維持補修、補強の取り組み」で発表した。

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