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武力攻撃からの住民避難を想定した国民保護図上訓練 =県庁

要配慮者、家畜の対応検討 国民保護共同図上訓練 県、市、村から70機関 海外からの武力攻撃想定

 【那覇支局】県は30日、海外からの武力攻撃を想定した先島諸島の住民を県外避難させる方法や手段を確認する「2024年度県国民保護共同図上訓練」を宮古島市や多良間村などの先島自治体、国や各関係機関約70団体と県庁で実施した。今回は以前の訓練で各自治体から要望が出ていた行政の支援が必要な要配慮者の避難手段、家畜やペットなどへの対応について検討した。

多良間村の避難実施要領(案)を説明する仲間課長(右から2人目)


 要配慮者は先島5市町村で概数7663人。そのうち、宮古島市は2550人、多良間村は363人。要配慮者の人数が示されるのは初めて。避難については、船舶上での医療処置の困難性や長時間輸送による要配慮者の負担を考慮して、可能な限り航空機を活用するとし、医療行為や病気の重症度などで、船舶やヘリでの避難になるとした。
 県の避難指示の概要では、調整中としながらも海路で1日あたり最大420人を平良港から那覇港を目指すルートが示されている。県は、現在定期航路とする旅客船が存在しないことや防衛省などに大量輸送の船舶が少ないことから「大幅な上積みは困難な状況」とした。
 先島地域の23年度の家畜の飼育状況として、牛農家1283戸で4万2667頭、豚農家27戸1909頭、鶏農家61戸6万9312頭、馬農家77戸360頭、山羊農家387戸3624頭となっている。
 県は住民避難が最優先とし、地元や受け入れ先の意向、避難の実行性、事後の畜産業復興の観点から取り組むとした。農林水産省も住民避難が最優先であるとの考えを示し、家畜を島外へ避難させることが容易ではなく、島外へ避難させる家畜の優先順位付けや島内での避難を検討する必要性を指摘し、「県としての考え方を明確に示した上で具体的な避難方法を検討することが重要だ」と強調した。
 ペットの飼育状況は、市によると、犬2744頭、猫4427頭、村によると犬71頭、猫115頭となっている。同行避難する場合、市、村ともに船舶での避難になるとして、課題を検討している。環境省は「ペットが家族の一員と扱われるようになり、住民避難が最優先され、ペットの島外への避難が容易でない場合でも、住民の意向に応じてペットも避難できる体制整備が必要だ」と指摘し、①島外避難に向けた事前の備え②島外避難時の対応③島内に残されたペットの扱い―の3つの基本的な考え方を示した。
 訓練に参加した村総務財政課の仲間智也課長は「少しずつではあるが、前に進んでいる。島に戻って、村長に報告して今後の対応を考えていきたい」と話した。

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