
2025年への挑戦 市、変革と課題を振り返る 各産業の持続可能化へ 魅力ある環境整備を
2024年、宮古島市は大きな変革と課題に直面した年だった。観光客の増加によるホテル稼働率の上昇や飲食業、アクティビティ事業の売上向上が見られた一方で、ゴミの増加や水資源不足、インフラ負担の問題も顕在化。気候変動は大きな台風の被害を免れたものの、農業や漁業、再生可能エネルギー導入の加速など、環境と経済への課題を残した。残すところあとわずか。この激動の年を経た宮古島市はどのような2025年を迎えるのだろうか。
24年の宮古島市を振り返ると、観光業の回復が顕著だった。コロナ禍から立ち直った世界が再び旅行熱を取り戻し、国内外からの観光客が増加した。ホテル稼働率は90%を超え、飲食業やアクティビティ関連事業も好調な売り上げを記録した。だが、その再興は一方で新たな問題も浮き彫りにした。観光客の急増に伴うごみ問題や水資源の不足、インフラの過剰負担への懸念が深刻化している。
だが、24年は大きな台風もなく、被害も比較的少ない年となった。その結果、農業や漁業への直接的な打撃は軽微であり、サトウキビ農家も例年通りの収穫量を維持できたと見える。
一方で、再生可能エネルギーの導入が加速し、太陽光発電の施設などが次々と整備されるなど、エネルギー自給率向上に向けた取り組みが引き続き進展している。再生可能エネルギーのさらなる普及により、25年はエネルギー自立型の島を目指す動きも強まると見られる。
24年には、高齢化の問題も引き続き顕著だった。若者の都市部への流出が止まらず、島内の労働力不足が深刻化している。
一方で、海外からの技能実習生や移住者の受け入れも拡大し、多文化共生が進む兆しも見えた。
25年、観光業においては持続可能な観光の実現が鍵となる。環境への負荷を軽減するため、観光客にエコツーリズムの推奨し、観光客の集中を避けるため、シーズンオフの魅力を発信し、観光の平準化を図ることも重要だ。
4月の津波騒動と大規模な停電で防災のインフラ強化が急務だということが明らかとなった。避難所の拡充は当然だが、混乱した市民を冷静にさせるための広報力の強化、また一致団結した行政が求められるだろう。
人口減少対策としては、地元の若者が島に留まれる魅力的な住環境の整備が求められる。特に、高騰化する家賃問題を解決するための取り組みが急務であり、公営住宅の建設や家賃補助制度の導入が訴えられている。
同時に、地元農家を支援するための補助金制度の新規導入および拡充も急務だ。24年の畜産業はこれまでにないピンチに陥った。子牛単価は減少の一途をたどり、復活の兆しも見えない。
行政が他人事のようにスピード感がない現状のままでは、いざ実行するその時に住民がいなくなる恐れがある。市民が訴えているうちに対策を講じ、危機感を認識することが求められる。
同時に地域の魅力を高めるために、伝統文化や自然資源を維持しながらの地域振興策が重要であり、島外からの移住者を受け入れるためのコミュニティ体制の強化も欠かせない。
新型コロナウイルスに意識はなくなったものの、これを機に市民だけでなく、国民全体が健康に関心を強くした。少なくともコロナ以前よりマスクを着用する姿が多く見られるようになった。だが、ここでも深刻化するのは医療関係者の不足だ。少子高齢化から病院にかかる市民は増えていく一方だ。
2025年、宮古島市は試練の年であると同時に、大きな変革のチャンスの年でもある。環境と経済、そして地域社会の調和を図りながら、未来への一歩を踏み出すことができるかどうかが問われ、住民一人ひとりの意識と行動にかかっている。