県議会が百条委の設置 米事務所諸問題巡り 10年ぶり4度目 野党・中立の賛成多数で
【那覇支局】県議会(中川京貴議長)の11月定例会の最終本会議が20日、開かれ、野党の自民党・無所属の会が県の米ワシントン事務所を巡る諸問題について地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める動議を発議し、野党と中立の公明党の賛成多数(賛成25、反対21、欠席1)で可決された。百条委が設置されるのは10年ぶり4度目となる。また、ワシントン事務所の違法状態の早期是正を求める警告決議も野党・中立の賛成多数で可決した。
百条委は自治体の事務に関する疑惑や不祥事を調べるため地方議会に設置される。地方自治法100条に規定され、設置には議会の議決が必要。強い調査権限があり、関係者の出頭や証言、記録の提出を請求できる。虚偽の証言、正当な理由がない証言拒否や記録の不提出には禁固や罰金などの罰則がある。
ワシントン事務所は米軍基地問題解決のために翁長雄志前知事が2015年4月に設置。設立時に米国から「非営利事業者」としての登録に難色を示されたことから、県が100%出資する株式会社「ワシントンDCオフィス社」として設立。駐在職員は企業の転勤者向けの「L1」ビザを取得している。そのため、県職員にもかかわらず、「社長」などの肩書となっている。県職員が兼職するには地方公務員法に基づく許可が必要だが、県は手続きを怠っていた。また、県は株式会社の設立に伴い、株式を公有財産として登録し、県議会に報告する義務があったが、それも行われていなかった。
自民党・無所属の会の座波一県議は百条委の設置の理由について「当初は監査委員の結果を受けてから、次の対応をとする考えもあったが、期日とした本日までに結果が出なかった。年が明けると、予算編成が着々と進み、ワシントンの予算が従来通り計上される可能性がある。今、指摘している予算の不適切部分を執行部が是正をしないという懸念がある」と説明した。
その上で「県として法にのっとった事務執行ができているのかに焦点を当てるべきだ。総務企画委員会では限界があり、百条委でしっかりとした証人喚問、参考人を呼んで事実関係を明らかにするにはもう時間がなかった」と理解を求めた。