宮古で全国山羊サミット 情報交換、消費拡大へ 砂川氏基調講演 山羊肉食文化の変遷語る
「第24回全国山羊サミット宮古島大会」(同大会実行委員会主催)が16日、山羊肉の食文化をテーマにJTAドーム宮古島で始まった。17日まで。初日は総会や開会式があり、砂川寛裕委員長(宮古島市山羊生産流通組合副組合長)が有意義な情報交換と山羊肉消費拡大を祈念してあいさつした。基調講演した砂川勝徳氏(琉球大学名誉教授)は、戦後から現在までの山羊肉食文化の変遷を説明し、「食料難で主食はサツマイモだったが山羊汁を食べると元気になり、人の命を救う薬と言われた」と述べた。
全国山羊サミットの沖縄開催は3回目で離島では初めてとなる。会場には全国の飼育農家や関係者らが参加した。
開会式では、主催者の砂川委員長が「山羊の食文化は古来より継承されてきたが、血圧上昇を招くとの風評で生産農家が激減した時期もあった。(その後研究の)血圧上昇の原因は塩分との結論が大きな反響をもたらし、山羊生産に関心を持つ農家が増えた」と述べたほか山羊サミットを受け入れた決意も語り、宮古で開催されることの意義を強調した。
全国山羊ネットワークの中西良孝代表があいさつし、開催地の座喜味一幸市長は「多くの家庭や集落で山羊が飼われ、祝い席では山羊汁が振る舞われるなど山羊は身近で親しみの深い存在であり、現在も根強く残っている。この大会を通して山羊の魅力、可能性に改めて関心を深めていただきたい」と述べた。
砂川氏は「沖縄の伝統的山羊肉食文化の変遷と大型山羊の生産技術」の演題で基調講演。戦後から1960年にかけては馬、山羊の飼育は老人や子どもの仕事だったと説明し、「食料難で主食はサツマイモだったが、山羊汁を食べると元気になり人の命を救う薬と言われた」と振り返った。
本土復帰の72年から80年には本土やオーストラリアなどからの輸入が増え、山羊料理は最高のご馳走(ちそう)として食べられたという。「平成に入ると山羊肉は血圧上昇を招くとの風評があったが、実験で原因は塩分と分かりヨモギが血圧を抑制することも分かった。この結果で山羊肉の消費は上がった」と述べた。
近年解明された山羊肉の機能性成分では、山羊肉の中に人の健康を推進する機能性成分が豊富に含まれていることや滋養強壮および疲労回復などを作用するタウリンの含量が鶏、豚、牛よりも多く、脂肪含量が他の家畜の食肉と比べて少なくヘルシーであることが強調された。
17日は金城忠良氏(ゴートハウス真壁代表)が「山羊肉の肉質改善と肉用山羊の産業化」、平川宗隆氏(沖縄山羊文化振興会長)が「世界の山羊肉料理」、渡真利泰洋氏(料理人)が「私の成功例 山羊の可能性と今後の課題」で講話を行う。
塚原洋子氏(京都大学大学院農学研究科准教授)は「日本の山羊の内部寄生虫と対策」、野中克治氏(獣医師)は「経済的に損失の大きい疾病の現状とその対処」で講話する。