倒木被害を最小限に 街路樹管理の勉強会 樹木医の吉元さん招き 正しい点検法など解説
市都市計画課(西里誠課長)は14日、市役所で街路樹および公園樹木の管理についての勉強会を開催した。日本樹木医会県支部事務局で樹木医の吉元充氏を招き、倒木の事例や街路樹などの点検方法などを解説。講座後は森加越公園で現地視察を行い、倒木による人的被害や物損被害への対策などを共有した。
講習会は街路樹や公園樹木の管理を担う団体などを対象に行われ、西里課長は「全国では昨今、倒木による死亡事故もあり、適切な維持管理に務め被害を最小限におさえるべく受講するみなさんと事例や対策の情報を共有したい」とあいさつし、意義を示した。
吉元氏ははじめにデータを紹介。沖縄総合事務局調べによる県内の道路緑化率は49%で、道路延長で1㌔あたりの高木本数も他県と比べ圧倒的な数であることが示された。そこから、街路樹や公園樹木が全国で最も多いのが県内の特徴と強調した。
また、国交省が2018年から22年まで行った街路樹倒木に関する全国調査では年平均5200本のうち、県内の倒木は5年平均192本となっており、強風、台風以外は99本であることから約半数の樹木の適切な管理や点検が求められることが示された。
事例では全国の倒木による被害などをスライドで紹介、その後、考えられる原因と対策などを解説した。
そのうち、日本兵2人が終戦を知らずに身を隠し、2年間過ごしたとされる伊江村のニーバンガズィマールについては自治体などによる管理などを徹底したが、南根腐病に罹患していたことを挙げた。
吉元氏は「南根腐病に罹患するとせん定では防げない。伐採するしかないため特に注意管理し、人的や物損の被害を防ぐことが必要」と強調した。このガジュマルは23年8月の台風6号の被害で倒木した。
南根腐病はシマサルノコシカケという菌類の感染を原因とする感染症で、病原性が強く枯死しやすいく、非常に多くの種類の植物に感染することが問題視されている。
そこで点検の際の注意点として▽キノコの有無▽せん定後の腐朽具合▽幹の亀裂―などを挙げ、参加者に情報を共有。吉元さんは「多くの人に樹木への興味を持ってもらい、さまざまな情報を得ることが重要」と述べた。