西原正「南シナ海、東シナ海で勢力を広げる中国」

南シナ海、東シナ海で勢力を広げる中国 西原 正
中国はこれまでも南シナ海および東シナ海において勢力拡張を図る動きを見せてきたが、最近にはその傾向が強い。フィリピンは中国による南シナ海の島々の軍事基地化を懸念している。2024年5月にフィリピンは中国が進めていた埋め立てを監視のため一隻を派遣したところ、中国は多数の船を派遣したという。こうしてにらみ合いが続く中、8月に中国海警局の船とフィリピンの巡視船が衝突し、巡視船が船体を損傷させ、引き上げざるを得なかったという。
約60人の乗組員が5か月間のにらみ合いを続けたが、8月31日、中国はサビナ礁で自国の船をフィリピンの巡視船に意図的に3回衝突させて損傷を与え、その上フィリピン側に撤去を要求した。フィリピン側が中国による撤去要求を拒否したため、結局フィリピン側は補給を絶たれ水不足に直面したと言う。乗組員たちは甲板の雨水を貯め、エアコンからの排水をろ過して飲んだという。支援の中国船は最初は11隻だったが、引き揚げ時には55隻になったという。
さらに中国は9月15日礁に留まっていたフィリピンの巡視船を強力な水圧のホースで水責めにし、乗組員が食事することさえ出来なくさせた。このため同船は帰港せざるを得なくなった。フィリピンは中国が威圧的行為に続いてサビナ礁地域を自国領として固めることを懸念しているという。
マルコス比大統領は、10月の10日と11日にラオスの首都ビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)および日米中など18カ国の首脳らが集まった東アジア首脳会議(EAS)で対中批判を展開した。
他方、東シナ海でも、中国と台湾はより深刻な緊張関係にある。台湾の頼清徳総統は10月10日の建国記念日に当たる双十節で「台湾が中国に隷属することはない。併合や主権侵害には抵抗する」と言明し、台湾の自治を維持することを強調した。このため中国の習近平国家主席は、10月14日に台湾を取り囲むような形で大規模な軍事演習を行った。そこでの演習は実践的面が強く、米中関係にも影響を与えたと言われる。ただ日米比の連結が強く、さらに11月7日には日米比豪の共同訓練も行われた。
与那国島は台湾からわずか107キロメートルのところにあり、そこから中国が台湾に関して集めている情報にも接することが出来る。緊急の事態においては、台湾の人たちを受け入れることもできよう。しかし台湾に近いがために、与那国島は中国の何らかの軍事的圧力に直面することがあるかもしれない。
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