閉会のあいさつで登壇した宮古南静園入所者自治会連絡員の知念さん(左)と沖縄愛楽園自治会長の小底京子さん
=18日、那覇市の琉球新報ホール
回復者ら自身の体験語る 初めてのシンポジウム 差別や偏見の解消目指す
【那覇支局】ハンセン病への差別や偏見の解消を目指して、県は18日、那覇市の琉球新報ホールで初めてとなる「第1回県ハンセン病問題シンポジウム」を開いた。ハンセン病の回復者や家族が登壇し、自身が受けた体験を語り、今なお続く差別や偏見について訴えた。会場には、約150人が集まり、登壇者の話に耳を傾けた。
ハンセン病はらい菌という細菌が原因で発症する感染症で感染力は弱く、遺伝性はない。国は1907年に「らい予防に関する件」を制定し、患者の隔離を開始した。戦後にプロミンという薬が使用されたことで、ハンセン病は治療できる病気になった。療養所の入所者らは強制隔離の廃止を求めたが、政府は53年に「らい予防法」を制定し、96年に同法が廃止されるまで、隔離政策は続けられた。
シンポジウムでは、ハンセン病回復者の平良仁雄さんや回復者の家族による講演が行われ、差別と偏見に苦しんだ体験が語られた。閉会のあいさつでは、宮古南静園入所者自治会連絡員の知念正勝さんが名護市にある沖縄愛楽園の小底京子自治会長と登壇した。
シンポジウム終了後、知念さんは「ハンセン病を知ったつもりになっている人も結構いると思う。ハンセン病を嫌いだという人もいるかもしれない。どちらの人も正しい理解とみんなが楽しく生きていける社会の実現のためにもハンセン病に対する差別や偏見をなくしてほしい」と話した。