上野にゼロエミ植物工場 エクサ社 市産業振興セに開設 環境配慮型の野菜生産
野菜製造業のエクサ(城辺比嘉、下地一雄代表)はこのほど、内閣府の沖縄振興特定事業推進費補助金の交付決定を受け、市地産地消振興センター(旧市上野庁舎)でゼロエミッション型植物工場実証事業を開設する。10日、下地代表らが市役所で会見を開き、概要を説明。離島の条件不利性克服と持続可能な島しょ地域の形成へ向け、来年春ごろの供給開始を目指している。会見には下里盛雄市産業振興局長らが同席した。
同社は市の協力を受け、9月30日に内閣府の沖縄振興特定事業推進費補助金の第3回交付決定を受けた。市によると同補助金が市内企業に公布されるのは初めてとのこと。
同工場は離島の食料安定供給と地域内経済循環に資することが目的。室内でレタスなどの葉野菜を栽培し、環境を人為的に制御することで気温の変化や台風といった天候に左右されない安定供給を目指す。
市は食料品のほとんどを島外から輸入するため、台風時の影響や天候に左右されるなど不安定な供給を課題としている。同社は食料安定供給と域内経済循環が急務とした。
同工場は同センターの2階北側116坪(約388平方㍍)に栽培棚を5段6列設置し、1日でレタス700株の出荷を計画。また、▽天候などに左右されずに安定生産が可能▽土地生産性が高い▽農薬の不使用▽栽培時の節水と排水管理―の可能性を挙げた。
課題としては年間通して常時21度に保つエアコン、LEDの使用から電力消費とCO2排出量増加や野菜栽培に必要なウレタン製スポンジの廃棄物増加などを挙げた。
計画では太陽光発電の利用で化石燃料由来の電力供給、同スポンジに変わる素材を開発することでプラスチック製廃棄物ゼロにすることを目指す。琉球大学農学部と提携し、研究を進めているという。
下地代表は「悪天候などで船便の欠航が年間60便にも上ることからスーパーなどの野菜コーナーが品薄状態という何十年もの課題を解決したかった。初期投資に悩んでいたところ、市に相談し、このたび交付決定となった。まずは市に感謝したい」と述べ、「補助金を頂くことは社会的責任も伴う。しっかり運営することでほかの離島や地域の模範になることが目標だ」と語った。
さらに、ほかの入居予定者とのコラボレーションも前向きな様子で同センターを起点にしたにぎわい造成を実現することで、「地域の人たちからできて良かったと言われる施設になるよう頑張っていきたい」と強調した。