サキシマハブ発見に係る生息調査報告会議が開かれた =県宮古保健所

ハブ定着の可能性低い 126日間の調査で捕獲されず ヘビ目撃時は通報を

 県宮古保健所(山川宗貞所長)は15日、同保健所でことし3月末ごろに島内で発見されたサキシマハブに係る生息調査報告会議を開き、126日間の調査の結果、ハブの捕獲はされず、宮古島での定着の可能性は低いことを明らかにした。だが、過去に同様の事例があるため、市民らへ向け注意を呼び掛けている。同保健所は島内でヘビを見かけた場合は自ら捕獲しようとせず、通報(72・2420)してほしいと強く呼び掛けている。
 同会議には県から同保健所生活環境班、衛生環境研究所、薬務生活衛生課が、市からは環境保全課、消防本部警防課と多良間村の住民福祉課が参加した。
 報告によると3月30日に平良港で棚卸し作業中にコンテナからサキシマハブ(メス、全長44㌢、体重12・7㌔)の死骸を発見。侵入経路の特定、定着の可能性があるとして調査を行った。
 調査方法はベイトトラップを用いた捕獲調査で捕獲地点近辺を中心とした緑地帯の計30カ所、30台のわなを設置。期間は4月10日~8月14日までで同保健所生活環境班と市環境保全課で協力し、見回り間隔を2週間として実施したという。
 その結果、3488わな日数でサキシママダラ33匹、サキシマスジオ1匹の無毒ヘビは捕獲されたがサキシマハブは発見されなかったとのこと。
 同研究所の寺田考紀主任研究員は「捕獲されなかったので恐らくほかにいないだろうとし、定着の可能性は低いと判断した」と報告するも、「だが、2013年に捕獲された際と同時期、同場所に加え個体の大きさが同じであることから再発および侵略的外来種に備え、今後の対応と対策を講じる必要がある」と述べた。
 寺田主任によるとハブが生息しない粟国島で17年にオス、メス計3匹が捕獲され、同島内14カ所でわなを設置し、調査を続けたところ翌18年に2匹、19年には9匹と繁殖が進み、22年には130匹が捕獲されたという。現在のところ人的被害は報告されていない。
 今後の対策や課題では「思ったよりヘビが多いもののハブであるかの判断は住人らには難しい」「監視の目を強化し、ハブの特徴など事業者向けの周知を図るべきだ」などの意見が出た。
 また「ハブ抗毒素は常置できないのか」との質問に薬務生活衛生課は、「県の予算などもあり今回、宮古病院に手配した同抗毒素は一旦引き下げるが、すぐさま対応できる形にしたい」と説明。山川所長によると同抗毒素は医師による扱いも難しく、もしハブ被害でなかった場合、接種した際の毒素による人的副反応も強いという。同抗毒素の消費期限は約10年とのこと。

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