災害時に備えた避難所運営訓練で模擬体験する市民ら =市役所

被災者に寄り添った対応学ぶ 避難所運営訓練HUG開催 カードゲームで疑似体験

 宮古島市防災危機管理課は10日、市役所2階大ホールで「避難所開設HUG訓練」を行った。八重山諸島南方で大地震が発生したと想定し、家屋などの被害を受けた人たちを受け入れる避難所開設の運営をゲーム感覚で体験するもので市民ら約30人が参加した。避難者の年齢、性別、国籍や病気などそれぞれが抱える事情が書かれたカードを避難場所に見立てた平面図に適切に配置し、炊き出しや食料、物資の受け入れなどにも対応した。
 避難所運営ゲームHUG(ハグ)のHはhinanzyoの避難所、Uはuneiの運営、Gはgameのゲームで意味は「抱きしめる」。訓練により避難所開設の対応をゲーム感覚で体験し、災害時における避難所運営を模擬体験し、災害時に備えることを目的に行われた。
 訓練の進行は琉球国際航業が行った。同社技術部主任技師の大門達也さんが概要を説明し、避難所運営に必要なこととして、▽組織づくり、居住組▽部屋割り、名簿の作成▽避難所運営本部の設置▽取材、問い合わせへの対応▽食料、物資の受入れ、配給▽ボランティア受け入れ体制の構築―などを挙げた。
 避難所のイメージでは老人、乳幼児、妊婦、車いすの人、外国人、病人、家が全壊した人、親を亡くした子どもなど様々な事情を抱えた避難者が来るので「どのように入ってもらうかが大事」と強調。ゲームの仕方や避難者カードも説明した。
 参加者らは5グループに分かれ、各グループが避難所として避難者カードを平面図に配置するゲームを行った。
 各グループでは読み上げ係がカードを読み上げ、プレイヤーに渡す方法で始めた。カードはそれぞれの事情に応じて体育館、グラウンド、教室、保健室などに配置。体育館では通路を設け家族ごとに配置し、旅行者は同じ教室に入れ、病気を抱える家族は保健室に配置するなどの対応が行われた。
 訓練後は振り返りが行われ、参加者らは「避難する皆さんの状況がそれぞれ違うので細部までの配置が難しいと感じた」、「地区の4つに分けたが外国人や疾患を抱えた人、ペット連れなど多様な人が来たので焦った」とそれぞれ述べた。感想としては「スピード感が求められることを感じた」と語った。
 最後に同社取締役の山﨑晴彦さんが「全体的に良かった」と講評し、「その場しのぎにならないように早い段階で大きな考え方を決め、そこに誘導していく。災害なので被災者に寄り添った対応が大事。いっぱいある情報から内部情報と外に出す情報を分けることも必要」などとアドバイスした。

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