地産地消コーディネーター報告会では学校給食への地産食材の利用などが説明された =市役所

学校給食の地産地消を推進 生産者と消費者つなぐ コーディネーター報告会

 市内の生産者と消費者をつないで地産地消を進めていく役割を担っているコーディネーターの報告会が31日、市役所2階大ホールで行われた。地元で採れるニンジン、ジャガイモ、タマネギの3品目を学校給食に提供する活動について報告。生産計画の把握や生産者・納品事業者と調理場の調整などを説明し、品目ごとに課題を挙げた。市産業振興課によると学校給食の地産食材利用率は2020年の11・1%から23年には23・5%と上がっている。今後利用率を上げるには3品目以外のキャベツ、大根の地産率が低いことから可能性があると話した。会場には生産者や市民らも参加し取り組みに理解を深めた。
 同課には23年8月から地産地消コーディネーターが配置され、現在は3人体制。学校給食にニンジン、ジャガイモ、タマネギの3品目を提供するために生産状況と調理場での必要量を把握し、市内産でまかなえるかどうかを確認し、不足や余剰の場合の調整や生産者および納品業者と栄養士の間で情報共有といった調整なども行っている。
 活動報告では渡邉綾さんが、業務や給食納入における流通のパターン、給食納入における各調理場への納品ルートを説明。具体的な活動ではニンジン、ジャガイモ、タマネギの品目ごとに▽生産計画の把握▽納品ルートの整理▽栽培状況の把握▽生産者・納品事業者と調理場の調整▽不足、余剰のサポート▽冷蔵保管―について説明した。
 ニンジンは「比較的規模の大きい生産者がおり、生産者と青果業者との関係も良好である」とし、課題については「余剰時に学校給食以外への販売を急いだ結果、後の大雨や高温の天候不良による不足に対応できなかった」などを挙げた。
 ジャガイモでは学校給食に適したサイズ、品質の収穫期間が短いなどが課題に挙がり、タマネギは規格外の選別や保管にかかるコストなどJAの負担増などを挙げた。
 名嘉真清美さんは、23年度地産地消による地域内経済循環システム構築事業で旧上野庁舎に設置した冷蔵庫の目的と利用状況を説明した。
 目的については「ニンジンなど3品目は主に冬春期が最盛期で、通年の地産食材利用率の向上のためには供給期間の延長を図る必要がある」と話した。設定温度は3度で7㌔、394箱を保管することができるという。
 また、保管実験開始時と3カ月後の比較、業務に必要となる知識習得の研修、産地見学会、調理法研修会、全小中学校で同じメニューを提供する「みゃーく食材の日」なども説明した。
 報告会冒頭では下里盛雄産業振興局長があいさつし、産業振興課の三上暁課長補佐が地産地消の取り組みを説明。流通の全体では「つなぐ仕組みを構築し、域内(島内)での流通量を増やす」と話した。平良、城辺、上野、下地、伊良部調理場の学校給食は約5千800食、利用量の多い野菜は23年度実績でニンジンが約21㌧、タマネギが約17㌧、ジャガイモが約7㌧となっている。
 報告会後、生産者や流通の関係者が、今後の学校給食の取り組みについて意見を交えた。

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