ツマグロゼミ計974匹を確認 市指定天然記念物、24年度調査結果 大幅減、保護に課題
市生涯学習振興課は19日、市歴史文化資料館(旧砂川中学校)で市指定の天然記念物ツマグロゼミの2024年度の最終個体調査結果報告を行った。7年前から個体数の調査を行っている佐渡山安公さんによるもので、佐渡山さんは「梅雨入りから梅雨明けの時期に発生するツマグロゼミは『ツユゼミ』とも呼ばれる。今年の梅雨入り(5月5日)では同月13日の大雨の夜から幼虫が発生し、梅雨明け6月21日ごろまで確認することができた」と発表した。
国内では宮古島が生息地の北限であるツマグロゼミは上野新里集落など一部地域に生息している。全長は最大4㌢ほどの小さくきれいなセミ。宮古のツマグロゼミの体色は青緑色、オレンジ色、その2色の中間色の3色があり、佐渡山さんは6年前から増殖に向けて本格的な調査を開始。昨年度から市教育委員会の委託を受けてさらに内容の濃い調査を実施している。
これまでの羽化数調査では18年が1千122匹、19年が3千690匹、20年が1千842匹、21年が1千8匹、22年は長雨の影響で同施設の広範囲が水没する影響もあってか138匹、23年は512匹だった。
24年は464匹と昨年より少ないが、豊原ウナトゥ周辺や砂川ウイピャー御嶽周辺、新里御船親御嶽周辺集落内の民家等では510匹確認でき、施設内外を合わせると計974匹。
佐渡山さんは「以前は1千から3千600匹ほど確認していたが今年も確認数は少ない」と危機感を募らせている。
この結果は、ツマグロゼミの保護と増殖に向けた取り組みの重要性を示し、佐渡山さんは「課題としてツマグロゼミはイスノキを好み生息しているので木の下の枯れ枝や枯れ葉が堆積しないよう環境を整える。またイスノキの植栽が大切」と説明した。
冒頭、同課の梶原健次次長兼課長は佐渡山さんに対し、長年の調査に感謝を示し、あいさつを行った。