救急・へき地医療の巨星逝く　徳田虎雄名誉理事長(86歳)死去　徳洲会　〝生命だけは平等だ〟

　元衆院議員で徳洲会グループ創設者であり、名誉理事長の徳田虎雄氏が10日夜、入院先の神奈川県内の病院で死去した。享年86歳。「24時間、救急患者を受け入れる」「差額ベッドの廃止」などこれまでになかった革新的な医療サービスを導入した。「生命だけは平等だ」という理念のもと、全国に医療施設を展開した。宮古島徳洲会病院、徳洲会伊良部島診療所を開所するなど宮古島市の医療界発展に大きく貢献した。
　徳田氏は１９３８年兵庫県高砂市生まれ。鹿児島県徳之島で育ち、弟の急病死をきっかけに医師を志す。73年に大阪府松原市に徳田病院を設立し、75年には「医療法人徳洲会」を創設した。
「24時間救急医療の提供」「差額ベッドの廃止」「患者からの贈り物は一切受け取らない」など、それまでの医療の常識を打ち破る特異な方針を打ち出して実行。全国の医療機関に大きな影響を与える。
　90年から２００５年までの間、衆院議員として活動。自由連合を設立し、94年には沖縄開発政務次官を務めたが、02年に筋萎縮性側索硬化症（ＡＬＳ）を発症し、政界を引退。その後も病床から徳洲会グループを指揮し続け、医療界発展に寄与した。
　訃報を受け、宮古島徳洲会病院初代院長を務めた現うむやすみゃあす・ん診療所の竹井太院長は「長きにわたり闘病しながらも日本の医療発展に貢献し続けた功績はとても大きく、『生命だけは平等だ』の理念の下で医療を展開し、日本中で届かない医療の場所に医療を届け続けた功績に敬意を表する」と述べた。
　その上で「徳田理事長の意思を継ぎ守ってきた宮古島徳洲会病院の先生方の功績が宮古島で徳洲会はなくてはならない病院という位置づけにあり、現在の宮古島医療の充実に貢献できたのではないか」と語った。
　元伊良部島町議員で伊良部島診療所の開院に携わった本社の洌鎌敏一会長は「当時の医療発展に徳洲会が必要だと思い、わらにもすがる思いでアポなしで徳田理事長に会い、話をする機会を頂いた。はじめは伊良部島、宮古島の場所から説明し、理事長が沖縄に来るたびに共に付いて行き懇願し続けた」と振り返り、「地域住民だけでなく、今般の宮古島の観光客も安心して旅行に来られるのも徳洲会の存在は大きく、感謝しかない」と冥福を祈った。