会見を開いた(左から)大城教育長、佐藤さん、新垣さん、天久生涯学習部長 =市役所3階・会議室②

貴重な知識を後世に伝える 史資料、綾道続編を発表 図書館、各所で閲覧可能

 市生涯学習振興課は31日、市役所で宮古島市史資料「イキマインシャの記憶」および「綾道~自然・植物編~」の発刊に関する会見を開き、大城裕子市教育長、天久珠江生涯学習部長、市史編さん職員の佐藤宜子さんと新垣則子さんらが両書籍の価値を強調し、多くの閲覧や利用を呼び掛けた。どちらも非売品。これらの資料を通じて、宮古島の自然や文化の魅力がより多くの人々に伝わることが期待される。
 「イキマインシャの記憶」は、池間島出身の故伊良波進氏(1932年~2020年)が残したノート20冊をまとめたもので、長年の漁業経験と知識が記されている。一方、「綾道~自然・植物編~」は、宮古島の自然環境と植物に焦点を当てたもの。
 会見は宮古島の自然や伝統漁法に関する貴重な記録を多くの市民に広く周知し、その利用拡大を目的に開かれた。
 大城教育長は「伊波波さんの漁師生活を記録した手書きノートが20冊あり、池間の歴史、文化、方言まで記されている」と「イキマインシャの記憶」を紹介するとともに協力と承諾した伊良波氏の家族に謝意を示した。
 伊良波氏は伝統魚法「石巻落とし」の技術を継承し、後継者の育成にも尽力した人物として知られている。彼の功績は、沖縄県内で広く認知されており、県からも複数の賞を受賞の実績がある。同書はその約70年間の漁業で獲得した知識と経験を基に抜粋したものである。300部の非売品として市内の学校や図書館、関係先に配布され、同日からは図書館での閲覧および貸出が可能となった。
 一方、「綾道~自然・植物編~」は琉球石灰岩からのアルカリ性土壌で島尻マングローブや大野山林など多様な植物の群生など宮古島の豊かな自然環境と植物群について紹介している。これまでの史跡や文化に加えて、自然環境にも光を当てることで、宮古島の魅力をさらに深く伝えている。
 同書は1万部を無料配布し、生涯学習振興課、市歴史文化資料館(旧砂川中学校)、図書館、博物館などで入手可能となっている。
 なお、各所では配布部数に限りがあるため、多くの部数を利用するなど問い合わせは生涯学習振興課文化財係(72・3764)、市歴史文化資料館(77・4506)まで。 

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