テラス席の様子 =9日、パーラーレッドドラゴン(同店提供)

オーバーツーリズムへの配慮を クルーズ客の占拠事態 相次ぐ迷惑行為に不安訴え

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年まで運休が続いていた海外クルーズ船の平良港への入港が、連日にぎわいを見せている一方、平良東仲宗根にあるガーリックシュリンプの有名店「パーラーレッドドラゴン」を運営するプロザウスの松吉秀樹代表はクルーズ船入港によるオーバーツーリズムに不安を募らせている。
 「ハワイよりおいしい」と評判のガーリックシュリンプや肉巻きおにぎりなどを提供する同店は地元住民だけでなく、旅の目当てとして訪れる観光客も多い。風通しの良いテラス席で食事が楽しめることでも人気の同店だが、このごろそのテラス席でクルーズ船の乗客による占拠とも言える事態が相次いでいる。
 松吉代表によると、最近ひどかったのは9日の午後。中国福建省の平潭港発着のクルーズ船「ドリーム」の乗客約200人が観光バスに乗り同店隣接の市熱帯植物園を訪れた。その際、歩き疲れた乗客の多くが同店のテラス席に居座り他の観光客らが寄りづらい状態になっていたという。
 その事態を見かねた松吉代表はバスガイドに注意するよう促したが聞く耳を持ってもらえず、乗客に直接注意しても従ってはもらえなかった。それどころか乗客の持参した水筒に「氷を入れて」と要求されたり、他の日本人観光客に対する迷惑行為ともいえる行動も見られた。その滞在時間は3時間にも及んだ上に購入されたのは肉巻きおにぎり2つだけだったという。
 この日のことを松吉代表は「ごみもひどかった。中国から持ってきたであろうお菓子の袋やたばこの吸い殻などがたくさんポイ捨てされていた」と振り返り、「市からお願いされてもすべてを受け入れることはできない」と憤った。バス会社など関係機関から乗客の飲食対応を要望されることも多いという。
 市のホームページではクルーズ船の入港予定が公開されており、松吉代表は市民の生活が脅かされていることを危惧している。「店の問題だけでなく、市民が食料・雑貨・薬品などで困っていると耳にする。クルーズ船入港によるメリットだけでなく、市民の生活に寄り添った受け入れ方を考えてほしい」と松吉代表は訴えている。
この件について市観光商工課は本紙の取材に、「船舶代理店のほうから旅行代理店に注意があったとは聞いており、今後バス会社に市からも連絡をとり注意喚起を行う。コロナ禍前にもこのような相談はよく受けていた。日本のマナーやトイレの使い方について書いた張り紙やうちわを配るなど対策を講じていきたい」と回答した。

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