牟田万希子さん(奥左)純子さん(同右)を招き不登校時の経験や対処法などが語られた =宮古教育会館2階

理解することが大事 牟田さん親子語る「不登校」

 教育講演会「私が学校に行かない選択をしたとき~不登校経験と母の話~」が17日、宮古教育会館で行われ、学生時代に実際に不登校を経験した長崎県出身の牟田万希子さんと母の純子さんを招きその時の心境や対応が語られ、参加した教諭らは不登校児童・生徒への対処法などを学び理解を深めた。
 万希子さんが不登校になったのは中学1年生の2学期暮れの頃。1学期は学級委員長に推薦され、部活動も活発にしていた。だが、委員長に立候補した男子生徒が学校に来なくなったこと、クラスでいじめが起きたのに一人では対処できなかったこと、学力テストで成績が下がってしまったことなどで10月ごろから学校を休みがちになり、11月1日には行けなくなってしまったという。
 「その当時はなぜ行けなくなったのか分からなかった」と万希子さんは語った。不登校児童生徒の理由に「きっかけが分からない」と答えるのは少なくないという。
 万希子さんは「今考えると授業についていけなくなり、学級委員長として責任と無力感に悩んでいた。休息が必要だったのだと思う」と話し、「その時には何をしても受け入れられる状態じゃなかった」と述べた。
 不登校時には特に周りからどう思われているのかが気になり、学校に行かない自分を否定するようになったとのこと。
 万希子さんはそこから元気になった要因としてまず家庭環境を挙げる。純子さんは3日間、学校へ欠席の連絡をしていたが、学校への申し訳なさと万希子さんにその通話を聞かれてしまうことを懸念し11月4日には「変化があったときだけ連絡します」と学校へ伝えたという。
 また、純子さんはとある一冊の本に「1日に合計で3分間の『ありがとう』を言う」と書いてあり、それを実施した。自己否定に入っている子どもを肯定することで「心配から信頼に変えることが解決の早道だった」と述べた。
 また、万希子さんは自身のモヤモヤを言語化する「スッキリ体験」やフリースクール(スペース)で社会奉仕活動などをすることで受け入れてもらえる安心感をもったことも元気になったきっかけだという。
 純子さんは子どもに対し、「暗黒期に入り、落ち込んでいる様子を見て『こうした方がいいよ』と声をかけるのは『あなたこれできていないよ』と子どもは受け取ってしまう」と話し、「その子自身を理解することが大事。理解ってスゴいんですよ」と訴えた。

関連記事一覧