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委員提案の報告書2案を審査したうえで挙手採決を行う調査特別委員会 =市議会全員協議会室

市長選考に“公平性・透明性”なし 農業委調査特別委員会 「総合的な判断」説明不足

 市議会の第9回農業委員会委員候補選考に対する調査特別委員会(富浜靖雄委員長)が4日、市議会全員協議会室で開かれた。特別委ではこれまで農業委員の選考手法の公平性、選考過程の透明性を明らかにする目的で市当局と農業委員会、評価委員長らから聴取を行ってきた。前回特別委では「一連の調査で明らかになった農業委員の選考過程に対する委員意見の聴取」を行った。今回は同調査をまとめた資料を参考に報告書案が協議され、決定。きょう5日の市議会定例会本会議で提出される。
 農業委員会委員候補選考に対する調査報告書の作成協議に向けて事務局から、「▽特別委の設置・調査の趣旨▽調査の主な経緯▽各委員の意見▽調査結果―のまとめで構成するのが望ましく、調査の基本方針である①なぜ問題が起きたか②どこに原因があったか③今後どうすべきか―に対する調査結果の記載が必要である」ことが説明された。
 委員間の協議で「特別委設置の大前提である座喜味一幸市長による農業委員の選任過程の公平性・透明性に対して、『公平性・透明性の担保は確認できない』旨の報告記載が必要」との意見が示され、同様の記載について全委員に了承された。
 さらに委員から「報告書には調査結果3項目に加えて④項として『事務手続きについて』を追加する必要性がある」との提案や、一連の調査を通して「現行規則では『農業委員の評価・選考は農業委に属しており、市当局は選任に介入できない』という認識共有が行政運営のうえで重要であり、報告書でその点を明確に指摘することが求められる」とする意見が出た。
 この意見に対して「重要案件である農業委員選任において市当局と農業委の総合調整は重要」とし、「事務委任から議会上程まで両者が連携して調整することが大切だと報告書に記す必要がある」とする委員の意見が示され、委員間の意見対立は平行線をたどった。
 この事態を受けて富浜委員長から「双方の委員から『意見を反映させた報告書案』の提出を受けて両案の委員審査を行い、委員採決の結果で特別委の調査報告書とする」提案がなされ全委員が同提案を承認した。
 山下誠・久貝美奈子委員は「問題の原因を客観的・包括的に捉えると、農業委員の選任における市当局と農業委の連携・調整不足が原因」だとして、今後の改善策としても「両者の密な調整等を求めると報告するのが望ましい」とする提案があった。
 一方、新里匠・下地信男委員からは「農業委は法規に沿って正当に候補者の評価・選考を行っており、報告後に市当局が候補者変更を行ったことが問題の原因」だとし、「農業委員選任の事務処理要領を把握せずに介入した」旨を明記した報告書案を提出。
 委員提案に対して質疑を経て採決が行われ、多数の賛同を得た報告書をきょう5日の市議会定例会に提出することが決定した。
 富浜委員長は特別委を「現時点で可能な調査はすべて行えた」と振り返り、「委員の活発な議論に助けられた」と語った。特別委は本会議での委員長報告をもって解散となる。

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