八重干瀬周遊ツアーに出発する観光客 =池間漁港

八重干瀬ツアー実証開始 周遊、釣り、食事体験

 池間漁業協同組合(與那嶺大組合長)が観光庁の補助を受けて実施する八重干瀬周遊のモニターツアーが28日から始まった。漁船に乗って八重干瀬を海上から眺めながら釣りを体験し、釣った魚を料理して食べる。モニターツアーを経て来年度には旅行商品として導入を計画している。同漁協では経営改善や魚業者の所得向上などのため、今後は積極的に観光漁業に取り組み、地域活性化や担い手確保などにつなげたいと考えている。
 このモニターツアーは観光庁のインバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業として実施。漁協の収入増加や活性化、地域環境を守りつつ観光振興を進め、魅力ある地域づくりを推進することを目的にしている。12月までに10回のツアーを予定している。
 「幻の大陸八重干瀬周遊ツアー」と題して漁船に乗って漁業者の案内で八重干瀬を海上から周遊し、釣った魚は同漁協直営店の池間食堂で調理して食事までを体験する。池間漁港を出港して往復約3時間。申込・販売はJALJTAセールスが行う。大潮のときだけ行われ、年間1500~2000人を目指している。
 午前10時から同漁港で開始式が行われ、池間小中学校の児童生徒たちがエイサーを披露して祝った。最初のツアーには10人が参加した。このうち長野県から観光で訪れた50代の女性は「6月にも八重干瀬には行ったがとてもきれいだった。みんなと八重干瀬のきれいなサンゴを見てみたい。事業のスタートに参加できてうれしい。エイサーも見られたので良かった」と話し、ツアーに出発した。
 與那嶺組合長は「漁協経営は将来的に漁業だけでは不安であり、いろいろな事業を導入したい。八重干瀬は国定公園指定を目指しており、その保全も兼ねながら観光事業を導入しようと思った。来年度からは漁協の事業として取り入れていきたい。来島者との交流を生かしながら島の経済活性化につながれば」と話した。組合員の減少や高齢化も進んでいることから、担い手確保などの波及効果も期待している。

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