市民の信頼回復に全力 無許可工事問題で決議
宮古島市議会で27日、粟国恒広氏による平良久貝の農道無許可工事を非難し、「議会議員としての政治倫理順守の決意を表明する」決議案が提出された。与党議員7氏の連名によるもの。粟国氏に説明責任を果たすよう求めるとともに、市議会として市民の信頼回復に向けて全力を尽くすと表明。野党議員は決議の趣旨や無許可工事の問題性そのものに疑問を呈し、11人全員が退席。議場に残った与党・中立12人の全会一致で可決された。
決議案では粟国恒広氏が公共物への無許可工事を指示したことについて「当然に批判されなければならない」と指摘。国の災害復旧事業活用準備を進める市当局が、再三にわたり自粛を申し入れた中での強行は「極めて遺憾であり、看過できない」とした。粟国氏に対しては「公人である議会議員には常に有権者への説明責任が問われている。自らの政治生命をかけて十分な説明を行うべきである」と求めた。
また議員としての自覚と良識の欠如は「議会に対する市民の信頼を失墜させかねない」と問題視。「私たち宮古島市議会は、議員としての政治倫理を順守し、公人として市民への説明責任があることを強く認識して行動するとともに、市民からの信頼回復に向けて全力を尽くす」と表明した。
決議の趣旨について、狩俣政作氏や新里匠氏が疑問を呈した。狩俣氏は「粟国氏の問題が議員全体の決議になっている。個人に求めるべきではないか」と述べた。新里匠氏は「公共物に勝手に工事することは許されない」とした上で、議員に対するものならば懲罰決議を行うべきであり、個人的な批判になっていると指摘。「議会にそぐわない。ルールを守ることを求めるのであれば、議会もルールを守るべき」と主張した。
一方、下地信男氏や前里光健氏は、問題性そのものを疑問視。下地氏は「一方的な非難としか思えない。双方に弁明の機会があるべき」、前里氏は「何か具体的に違法性・実害はあるのか」と発言。与党議員からは「無許可工事を認めるのか」と声が上がった。
討論では反対の立場から平良敏夫氏が「趣旨には賛同するが、粟国氏を非難するものか、議員全員が襟を正すべきなのか釈然としない」と発言。賛成の立場では山下誠氏が「無許可工事はいけないという一点だけが問題。議員全員で市民に襟を正すことをしっかりと表明しよう」と述べた。
野党議員11人は全員退席したが、定足数を満たしていたため議会は続行。議場に残った与党・中立議員12人の全会一致で議決案は可決された。