冷凍装置の実証開始 狩俣勝成氏・一般質問
宮古島漁業協同組合(栗山弘嗣組合長)はこのほど、生と同等のおいしさや鮮度が実現できる「CASエンジン」を搭載した冷凍装置の実証実験を開始した。21日に行われた市議会一般質問で、狩俣勝成氏が当局に事業の進ちょく状況を尋ねるとともに、装置の利活用方法についてさまざまな提案を行った。石川博幸農林水産部長は、27日に市内の調理関係者を招き、CASで凍結したマグロの試食や試し切りを行う予定と示した。
CASとは「細胞を生かすシステム」の英語略。通常は食品を冷凍すると細胞組織が破壊され、解凍した際に水分が流れ出してしまうが、CASは細胞組織を保護しながら凍結できることが特徴。冷凍しても生と変わらないおいしさを保つことが可能になるため、離島の不利性解消や付加価値向上に寄与することが期待されている。
実証事業の進ちょくを訪ねた狩俣氏に石川部長は、7月に漁協関係者と市でマグロの試食会を実施したと説明。CAS凍結マグロとスーパーで販売されている生と解凍マグロとの試食比較を行ったところ、「生と比べてもそん色なく、解凍を明らかに上回るとの意見が多数あった」という。今後はマグロ以外の魚種での実証などに取り組む計画。
また27日には、市内のホテルや飲食店などの調理関係者を招き、試し切りや試食を行うという。石川部長は「実際に包丁を入れることで、解凍後の鮮度や食感について専門的な意見を伺う。各店舗での取り扱いの可能性や販売戦略なども聞き取ることで、利益率の向上や流通コスト低減に努めていきたい」と述べた。
狩俣氏は実証段階での提案であるとした上で、CASの活用方法について提案。同システムで凍結させた後は通常の冷凍庫で保存できることを紹介し「台風時に葉野菜などが不足する。通常時にCASで冷凍保存しておくことで、品薄対策に活用できないか」と述べた。
また、CASのレンタル事業を実施している自治体の事例を紹介。「冷凍機と作業室を合わせて、1時間6千円で貸し出している例もある。市が地産地消の拠点化を進めている旧上野庁舎にCASを設置して、加工場を一体として貸し出すような取り組みも検討してほしい」と求めた。