旧盆送り日の伝統行事で大綱を引き =30日、宮国公民館前交差点

伝統大綱引きで祖先送る 上野宮国 4年ぶりに通常開催

 旧盆送り日の30日夜、上野宮国では伝統行事の大綱引きが行われた。新型コロナの影響で規模縮小での実施が続いてきたが、4年ぶりの通常開催となり、大勢の住民や見物客でにぎわった。カタブイの強い雨が降る中、キャーン(シイノキカズラ)を手作業で綯った大綱を東西に分かれて力いっぱい引くと会場は熱気と歓声に包まれた。終始「宮国のクイチャー」を踊る輪が広がり、先人から連綿と受け継がれてきた伝統行事で祖先の霊を送った。
 行事は集落を東西に分けて行われる。午後8時、宮国公民館前の交差点に西里の住民が入って「宮国のクイチャー」を踊り、続いて東里の住民も入場。東西の青年らが大綱を担いで運び、高々と持ち上げて気勢をあげた。互いに荒々しく綱の先端を寄せ合い「ヒヤサー」「ハイサー」のかけ声とともに東西の綱をひとつにつないだ。

「宮国のクイチャー」を踊る参加者たち


 強いカタブイの雨が降る中、繰り返しクイチャーを踊りながら気持ちを昂らせ、双方が一斉に綱を引きあった。会場は掛け声と熱気、歓声に包まれ、東が2連勝して歓喜のクイチャーを踊った。青年たちが体をぶつけ押し合う「デーロイ」も行われた。
 役割を終えた大綱は綱作りの中心となってきた中学2年生の「ツナシードゥ(綱生徒)」らによって先端を斧で切り落とされ、御嶽に奉納した。
 綱作りはツナシードゥとその家族をはじめ地域住民が協力して行われており、子どもがツナシードゥを務めた下地淳市さんは「きょうだけでなく1カ月前から段取りなどを準備してきた。部落や青年会の皆さんに協力してもらった。地域の伝統行事を絶やさず、子どもたちに引き渡したい。みんなでつないで無事終われたので安心している」と安堵の表情を見せた。
 コロナ禍中は自治会役員やツナシードゥなど限られた人数で規模を縮小し、奉納のための綱引きが行われてきた。久しぶりの通常開催に宮国自治会の宮國美根男会長は「4年ぶりにできることを地域の皆さんも喜んでいると思う。大綱引きは継続してほしい。子どもたちに教えながら、伝統行事を絶やさないことが大切」と話した。

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