佐良浜漁港未許可建築 未承認で工事強行 前組合長が印鑑不正使用
佐良浜漁港内の県有地に県の許可を得ていないマリン施設が建設されている問題について、伊良部漁業協同組合が22日、同漁協が把握している経緯について説明する記者会見を開いた。漁協側は理事会で承認されていないとして自粛を求めたものの、事業者が工事を強行したという。また前組合長が組合の印鑑を不正使用して書類を作成し、建築届を宮古島市に提出していた。警察や県に全面的に協力することを理事会で決定した。
県は未許可の建築物の撤去と原状回復を、工事を行っている民間事業者に求めている。前組合長は問題の責任を取るとして引責辞任。会見は18日付で新たに組合長に選任された川満友博氏と、同漁協筆頭監事の猪澤也寸志氏が行った。
6月27日に開かれた第3回理事会で、事業者がマリン施設の計画について口頭で報告。その際、建設についての県や保健所との調整は完了しているとの説明があった。漁協側は固定資産にかかる事案については理事会での承認が必要として、正式に審議するための書類提出を求めた。
ところが、理事会に諮ることなく7月初旬から工事に着工。漁協側に契約書などの提示が無かったにも関わらず、注文主として伊良部漁協の名前が掲示されていた。第4回緊急理事会を7月21日に開くことを決定。開催前に県に確認したところ、説明と違い県から許可を得ていないことが分かった。理事会では掲示や文書から漁協の名前を消すことを業者に命じると決定した。
県の担当職員が7月26日に現場を訪ね、コンクリート打設を制止したものの、工事が強行されたという。また前組合長が理事会の承認がないまま、建築届に組合印を押印。宮古島市に書類を提出していたことも分かった。
川満組合長は「前組合長はすごく頑張ってくれた人で助けられたことも多い。間違いであってほしいという気持ちでいっぱい。現時点では組合として被害届を出す予定はないが、警察の捜査に全面的に協力していきたい」と述べた。
猪澤氏は「理事会の聞き取りでは、前組合長以外に関わった理事は確認できなかった。組合長以外にも理事が1人辞任しているが、この問題とは無関係で一身上の都合」と強調した。