入退院時の連携強化へ 医療と介護の協力推進
2023年度の第1回在宅医療・介護連携推進協議会(会長=嘉数登副市長)が16日、市保健センターで開かれた。住み慣れた地域や希望する場所で不安なく最後まで過ごせる環境整備を目指し、昨年度から開かれているもの。この日の協議会では、今年度の事業計画を確認。最も多くの課題が指摘された情報共有不足を解消するため、入退院時の連携ルールづくりに着手する。また「看取り」に関する知識の普及啓発にも取り組む。
宮古島市の高齢化率は県平均を大きく上回っており、25年からは全国平均を超えると推測されている。市で40年に自宅で亡くなる人の数は、20年比で103人増加する見込み。
こうした状況を踏まえ、切れ目なく在宅介護と在宅医療を提供する体制の構築を目指して、協議会で議論を重ねている。昨年度は▽日々の療養支援▽入退院連携▽急変時の対応▽看取り―の4場面で作業部会を設置。部会の議論では、医療と介護の情報共有に課題があるとの指摘が29件と最も多かった。次点は救急搬送についての8件。
情報共有の中では、入退院時に関する課題が9件と最多。それを裏付けるように、市では入退院時連携可算の算定回数が大変低いことも分かった。21年度の実績を人口10万人あたりで計算すると、市は21・6件。石垣市の227・2件と比較すると10分の1以下の値。全国平均は121件、県平均は60・1件。
そのため今年度は、入退院連携にかかる流れの見える化を目指した取り組みに着手する。連携のルールをつくることで、医療と介護が包括的かつ継続的に受けられる環境を整備することが目的。また質の高い情報共有に基づいた連携を行うため、共通の連絡シート作成にも取り組む。
那覇市や本島中部地区では、既に「連携マナーブック」などが作成されているという。それらを参考にしながら、専門職だけでなく一般市民も活用できるものにすること目指す。大枠や中身の検討、効果の検証など、24年度までの2年間をかけて取り組む予定。
看取りに関する市民への啓発は、普段から人生について考える地域づくりを目指した取り組み。本人の望む生き方を理解・共有でいる環境の整備を目指し、講演会などを行っていく。