「二度と沖縄を戦場にしない」 玉城知事、平和宣言で決意 沖縄全戦没者追悼式
【那覇支局】沖縄戦から78年となる慰霊の日の23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が開催された。摩文仁は沖縄戦最後の激戦地となった場所で、参加者は正午の時報に合わせて1分間の黙とうをささげた。2020年の新型コロナウイルスの流行以来、式典は規模を縮小して実施してきたが、ことしは例年通りと同規模での開催となった。戦後78年が経過した現在でも平和への思いをつないでいこうと県内各地でも慰霊祭が実施された。
玉城デニー知事は式の中で「平和宣言」を読み上げ、「戦争体験者が戦争の不条理と残酷さを後世に語り継いできてくれた実相と教訓を胸に刻み、あらゆる戦争を憎み、二度と沖縄を戦場にしてはならない決意を新たにする」と述べた。
昨年12月に閣議決定された安保関連3文書については「沖縄における防衛力強化に関連する記述が多数見られることなど、苛烈な地上戦の記憶と相まって、県民の間に大きな不安を生じさせており、対話による平和外交が求められる」と話した。
在沖米軍基地を巡っては、「航空機騒音、水質や土壌などの環境汚染、航空機事故、米軍人・軍属などによる事件・事故など県民生活にさまざまな影響を生じさせている」と述べ、日米地位協定の見直しや普天間飛行場の早期返還などを求めた。
岸田文雄首相は式であいさつし、「沖縄戦において戦場にたおれられた御霊、戦禍に遭われ亡くなられた御霊に、謹んで哀悼の誠を捧げます」と述べ、「戦争の惨禍を二度と繰り返さないという強い決意の下、静かに頭を垂れたいと思う」と話した。
米軍基地が県内に集中していることに触れ「沖縄の皆様には大きな負担を担っていただいている。政府として重く受け止めている」とし、「米軍施設、区域の整理・統合・縮小を進めて、目に見える成果を1つひとつ着実に積み上げ、基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります」と述べた。
また、「今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく、複雑な状況にあるが、世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、これまでの歩みを貫き、不断の努力を重ねていくことを、改めて、御霊に誓う」と決意を示した。