付託議案を審議した総務財政委員会 =市議会全員協議室

市負担ゼロで再整備へ 旧平良庁舎、利活用に県内初手法 総務財政委

 宮古島市議会(上地廣敏議長)は16日、総務財政・経済工務・文教社会の3常任委員会を開いた。うち総務財政委(下地茜委員長)では、旧平良庁舎の利活用に関する条例案などを審議。当局が、運営事業者の公募に際し、庁舎の修繕や維持管理費などの財政負担を市が一切負わないものとする方針を示した。県内で初めて導入される手法を用いるという。同条例案や省エネ家電買い替え補助事業など、全議案が原案通り可決された。
 市は旧平良庁舎を、民間資金を活用した事業手法(PFI)で整備する方針。PFI自体は県内でも実施例があるが、このうち▽民間事業者が自ら資金を調達し、既存の施設を改修・補修する(RO)▽施設の所有権を移転せず、民間事業者に長期間の運営権を付与する(コンセッション)―の2方式を組み合わせて事業を展開することが県内で初めての試みという。
 ROとコンセッションを組み合わせた利活用は、岡山県津山市の事例を参考にした。津山市は施設の改修費用の一部を負担したが、市は全額を民間事業者の負担とする方針。担当者は「あまりに虫の良すぎる話に聞こえると思うが、複数の事業者がこの条件で興味を示している」と説明。
 運営事業者はテナント誘致などで集客力のある施設とすることで、収益を上げることを目指す仕組み。市は市民と観光客の双方が利用可能な交流拠点とすることを示しており、パチンコ店などの導入は禁止する。また、公共的性質を残すため、商工会議所や観光協会、福祉団体などの入居を求めていく方針。
 運営権の期間は20年を想定。最終本会議で条例案が可決されれば、公募などを経て2024年4月の供用開始を目指すという。10カ月後という目標に委員からは驚きの声が上がり、「拙速とならないよう、事業者との協議は慎重に進めてほしい」などの意見が出た。当局は、改修工事の範囲などが未確定なため、時期はあくまで目標と説明した。
 一般会計や再生可能エネルギー運営事業特別会計の補正予算案▽新型コロナ対応の特殊勤務手当廃止▽高規格救急車と消防ポンプ車購入―などの全付託議案を原案通り可決。インボイス制度の延期・見直しを求める陳情書は、多数決で継続審議と決した。

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