凱旋公演を開いた砂川涼子さん(右)と、ピアニストを努めた梅田さん =マティダ市民劇場

砂川涼子さん凱旋公演 故郷で11年ぶり美声披露

 宮古島出身のオペラ歌手、砂川涼子さんのソプラノ・リサイタル(主催・市文化協会ほか)が22日、マティダ市民劇場で開かれた。コロナ禍で3度の延期を乗り越えた凱旋公演で、11年ぶりに故郷宮古島に美しい歌声を響かせた。公演は2023年度の市民総合文化祭「芸術劇場」第一弾として行われたと同時に、舞台設備を強化した同劇場リニューアル後初のイベントとなった。劇場に集まった大勢の市民は、砂川さんに万雷の拍手を送っていた。
 旧平良市出身の砂川さんは、武蔵野音楽大学声楽学科を卒業後、イタリア留学などを経て新国立劇場でオペラデビュー。実力に裏打ちされた歌唱は高い評価を得ており、日本のオペラ界を担うプリマドンナの一人と言われている。国際声楽コンクールでの受賞経験もあるほか、NHKニューイヤーオペラコンサートなど多数の公演に出演。
 主催者を代表して、市文化協会の饒平名和枝会長が「コロナ禍の影響で3度の延期を余儀なくされたが、ようやく開催の運びとなった。多くの皆さんが心待ちにしていた、故郷宮古島での公演を届けることができて嬉しく思う」とあいさつ。
 また会場に詰めかけた市民に、「会場いっぱいに響く歌声や豊かな表現力を体感し、ピアニスト梅田朋子さんの素晴らしい演奏を体感してほしい」と話した。
 リサイタルは県民に馴染じみの深い「芭蕉布」で幕開け。沖縄民謡の「てぃんさぐぬ花」などの日本語楽曲や、「トゥーランドット」で知られるイタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニの歌劇曲などを披露した。
 一曲ごとに大きな拍手を送られた砂川さんは「胸がいっぱい。皆さんに最後まで楽しんでもらえたらと思う。宮古島の子どもたちや、来場してくれた皆さんのために一生懸命歌う。リラックスして楽しんでほしい」と語りかけた。
 偶然のタイミングとのことだが、砂川さんの公演は照明設備などを一新したマティダ市民劇場で行われる初めてのイベントとなった。劇場職員は「宮古の宝である砂川さんの凱旋公演以上にふさわしいものはなく、大変光栄に思う」と述べた。きらびやかな演出を使用する舞台ではなかったが、照明がLED化されたことで熱量が10分の1になり、演者の負担を減らせる効果があるという。

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