5月から一部と畜再開へ 他地区から技術者招き
担当職員の不在から牛のと畜が一時停止している問題について宮古食肉センター(荷川取広明社長)は19日、JAおきなわ宮古地区本部で説明会を行った。と畜に関しては他地区から技術者を招いて業務を行う方向で調整。5月から一部の牛で再開を予定している。職員には招いた技術者と併せて県食肉センターに派遣して技術研修を行う。本島に輸送してと畜する際の経費は生産者に負担が無いように対応する。荷川取社長は「生産者や取引先、消費者に多大な迷惑と心配をかけていることをお詫びする」と陳謝した。
同センターでは牛のと畜を担当していた熟練職員の退職に伴い、3月20日からと畜ができない状況となり、4月11日には沖縄本島の県食肉センターに牛を輸送してと畜を行った。
説明会には生産農家や食肉卸業者、畜産関係者らが出席。荷川取社長は「以前から課題として抱えていた人材の確保、育成が遅れたことが主な要因。現在、牛と畜事業の早期再開に向けて関係団体と協議、調整を進めている。今後の対応策やスケジュールの方向性が固まってきたことから説明の場を設けた」と述べた。
と畜処理業務は同センターの職員が必要な技術を習得するまでの間、八重山、北部、県の食肉センターから技術者を招き、業務を行いながら職員に技術指導も行っていく。当面は八重山から技術者を招き、5月からと畜を再開する予定で準備を進めている。
職員の研修はと畜頭数が多く、実践研修のできる県食肉センターでも4月5日から週1回行われている。期間は3カ月間を見込んでいるが、延びる可能性もあるとしている。
と畜が完全に再開されるまで沖縄本島に牛を輸送する経費について、同センターは「生産者に負担のないようにすることを前提に議論している」として、補助事業などを活用して対応していくと説明した。
一時停止の事前連絡が無かったとして3月末に予定していたと畜ができず、石垣市から牛肉を購入して飲食店などへの注文に対応したという生産農家からは損失を訴える声があり、同センターは「補償についてはどういった状況か中身を聞きながら話し合いを持ちたい」と回答した。
と畜が再開するまで退職した熟練職員を一時復職させる提案が参加者からあり、「持ち帰って再度検討してみたい」と答えた。
研修や輸送などの費用負担による同センターの経営破綻を懸念する意見もあったが「この事案による経営破綻はない」と明言した。
また事故牛の緊急と畜は可能かとの質問には「と畜が再開するまで受入れできない状況」と述べた。