宮古島大会制した“強人”たち トライアスロン
期待の新鋭、歓喜の初V
初出場で初優勝を成し遂げた寺澤光介は、ゴールの瞬間歓喜の雄叫びをあげ、ゴールテープを高々と掲げた。今年度からロングに本格転向した期待の新鋭で、プロライセンス取得を目指しているという。記録は6時間4分47秒(速報値)で、2位に15分以上の差をつける圧勝劇だった。
寺澤は優勝インタビューで、「王者の戸原さんを意識して昨シーズンからトレーニングを積んできた。チャレンジャーとして挑んだが、優勝できてすごくうれしい」と満面の笑顔。
宮古島大会は初出場だが、2019年に観戦に訪れていたという。「本当に良いレースだなと思って、いつか出場したかった。素敵な景色を眺めながらレースが出来て、子どもからお年寄りまで『ワイドー』と声援を送ってくれた。最高でした」と語った。
ロングに転向したシーズンを、宮古島大会優勝という華々しい成績で飾った。今後は、世界選手権などに出場を予定しており、プロを目指すという。
「気負わずスタートできた」
「ラッキーだったと思う。体調も悪くなく、気負わずにリラックスしてスタートできたのが良かった。緊張せずに臨めたのが勝因だと思う」と話すのは総合2位の大畑亮介。「初めて出場した時は足をけがして完走できなかった。初めてのスイムで(海の)美しさに感動した。ペース的には1人になったので、自分のペースで泳げた。バイクは後半失速することが多いが、前半抑えたおかげで、気持ちよく終わることができた。ランにつなげることができ、チームメイトと2位争いしているレース展開もあって、頑張ることができた」と振り返った。
普段はアイアンマン大会に出場しており、タイムの比較などは難しいとしながらも「次のアイアンマン大会につなげられたのではないか」と感想を述べた。
「信じられない結果」
6時間22分9秒のタイム(速報値)で3位に入賞した土田洋平は、自分でも全くの想定外だったようで、「本当に信じられない」と驚きの表情。スイム・バイク・ランを通してマイペースに徹したことが功を奏したという。
2019年の第35回以来2回目となる宮古島大会の出場。「20番くらいが目標で、まさかこんな結果になるとは夢にも思っていなかった」と話す。来年は招待されることが濃厚だが、「正直勝ち逃げしたい気持ちでいっぱい。招待されたら頑張るしかない」と笑いを誘った。
好成績の要因については、「一切無理せず練習通りのペースを貫いたことで、最後まで潰れることなく走り切れた」と語った。
夢(子どもとゴールする)が叶った
「(ゴールした時は)最高の瞬間でした。島の応援の一つひとつをエネルギーに変えて頑張れました。(第10回大会でゴールテープを切った父・稲葉正一さんと自分の写真を見て)、自分も(子どもとゴールすること)をやりたいと思っていたので、夢が叶いました」と話すのは2度目の出場で栄冠を掴んだ戸原明子。 「きょうの目標は自分のベストを尽くすことだったので、最後まで諦めずに走れた」と振り返った。子育てと練習の難しさを問われ、「練習を本番のようにやるのは難しかったので空き時間を利用して工夫して練習していた」と話した。
宮古島大会の魅力について「宮古島の方々や雰囲気が最高です。応援が温かくて、小さい子どもやお年寄りまでみんなが応援してくれて本当に最高でした」と述べ、「練習では出せない力が応援で出てきた。自分は本番でしか出せない力があるので、宮古島だから出せたと思っている」と話した。
「課題見えた」次回Ⅴ宣言
4度目の宮古島大会出場となる太田麻衣子は、自己最高位となる女子2位でフィニッシュ。タイムは7時間12分43秒(速報値)で、1位の戸原とは4分22秒差。「バイクに課題があると分かった。克服して来年は女子優勝を目指す」と宣言した。
毎冬合宿で来島し、昨年の17エンドハーフマラソンにも出場するなど、宮古島市と縁の深い太田。4年ぶりの大会を「最高だった。一緒に練習している仲間がエイドにいたり、沿道から声をかけてもらえたり、地元の方の力を借りて走ることができた」と振り返った。
スイムが得意な太田だが、「スイムは短いのでそこだけでは。バイクで差をつけられたので、来年までに速くなりたい。そこさえ克服できればというのが見えたので、来年は女子1位を目指す」と語った。
「来年はリベンジ」
巖淵知乃はずっと出たかったという宮古島大会に肩の剥離骨折というハンデを抱えながら出場し、女子3位に輝いた。巖淵は「来年は優勝を狙ってリベンジしたい」と話した。
巖淵は2児の母親。今大会は娘の宇珠(うみ)ちゃん(4歳)、息子の丈(じょう)ちゃん(1歳)、夫の京さん(35)と来島。3位で戻ってきた母に宇珠ちゃんは「うれしい」と喜んだ。
宮古島には何度か来ており、ずっと出たかった大会だったという。巖淵は「レースで初めて歩いたのが悔しかった。肩をかばったせいで足に負担が来てしまった」と振り返るも、「自転車は楽しむことができた」と笑顔を見せた。
10度目挑戦、「家族のおかげ」
10度目の大会出場で初の宮古勢1位に輝いた松川慎吾は、「娘の世話などに協力してくれた家族のおかげ」と話す。また「ボランティアの力なしでは成り立たない大会」と、感謝を伝えながらレースを戦ったという。
松川のタイムは7時間34分59秒。「7時間半を想定していたので、ほぼプラン通りのレース。一緒に練習している宮古の仲間が前にいると分かっていた。負けたくはないと最後まで粘り強く走れた」と語った。
「節目の10回まで挑戦しようと思っていたが、宮古1位になれた。これからも頑張りたい」と述べた。