伊川秀樹副市長が退職 「丁寧な対応ほしかった」
伊川秀樹副市長に対する退職辞令交付式が31日、市役所副市長室で行われ、伊川副市長が約1年9カ月の職務を終えた。任期途中での異例の退職となったことについて伊川副市長は「人事権は市長にあり、私から申し上げることはない」とした上で「もう少し丁寧な対応がほしかったというのが正直な気持ち」と述べた。一方、市職員に対しては「大変お世話になった。これからも研さんに励んでほしい」と感謝と激励の言葉を贈った。
座喜味一幸市長は2021年1月25日に就任。当時の市議会は与党5人、野党18人の構成で、議会対応に困難を極める中、伊川氏を起用する同意案は2度否決された。3度目の提案で野党7人が賛成に回り、12対11の1票差で伊川副市長が誕生した。
任期は同年6月からの4年間だったが、ことし1月17日、座喜味市長が県で知事公室長を務めていた嘉数登氏に交代する意向を持っていることを、県内マスコミ各社が一斉に報道。異例の事態に注目が集まる中、伊川氏は3月10日、市に辞表届を提出。31日をもって約1年9カ月の職務を終えた。
市議会3月定例会では野党議員と市長との間で論戦が繰り広げられた。嘉数氏起用の同意案は最終本会議の23日に提出されたが、中立系2氏の退席により、11対12の1票差で否決された。質疑の中で座喜味市長は「新聞報道が早く出たことが混乱の一因」との認識を示した。
伊川副市長に退職辞令を手渡した座喜味市長は「少数与党で厳しい行政運営の中ご苦労もあり、伊川副市長には大変感謝している。新たなステージでも、市の振興発展に力を貸していただければ」と述べた。嘉数氏起用の再提案については、「ノーコメント」とした。
任期途中での退職について伊川氏は「目指す方向性は一緒だとしても、解決していく手段の中で違いがあったのではないか。いろいろなことがあったが、市長が起用してくれなければ私は副市長になれなかった。その出発点については感謝している」と述べた。
職員に対しては「一人ひとりの協力を得ていい仕事が出来、大変お世話になった。これからも市政は継続していく。企画立案能力を高める自己研さんに励み、さまざまな課題に対応できるようになってほしい」とエールを送った。