来年度から電線地中化が始まる市役所前の「中央縦線」 =平良西里

無電柱化計画を発表 来年度、「中央縦線」着手

 宮古島市(座喜味一幸市長)は29日、2023年度から32年度までの10年間を対象とする「市無電柱化推進計画」を発表した。計画では、▽防災機能の向上▽安全で快適な通行空間の確保▽良好な景観の形成―の3点を目的に、23年度から市役所前の市道「中央縦線」の事業に着手。10年間で同線約2.1㌔の整備完了などを目指す。無電柱化は整備費用が高額になるという課題があるが、市は各路線に応じた最適な費用を検討し、コスト低減を図る方針。

 市では03年9月の台風14号で約800本の電柱が倒壊。長期の停電や通信障害発生など多大な影響を及ぼしただけでなく、道路の通行を妨げ、救急活動や物資輸送に支障が生じた。また、道路上の電柱がベビーカーや車いすなどの安全な交通を妨げているほか、国内外から多くの観光客が訪れる市の景観を損なう要因ともなっている。

 市はこれらの課題を解決するため、計画に従い無電柱化を推進する。市にある市道972㌔(約.以下同)のうち51㌔に電線類があるが、無電柱化はほとんど完了していない。国道は28㌔のうち1.4㌔、県道は16㌔のうち4.4㌔が終了。また、市内の第1次緊急輸送道路9.4㌔では3.7㌔(39%)が無電柱化されている。

 対象市道51㌔を3つの目的に基づき評価し、優先整備道路を選定。評価項目は警察署や消防署へのアクセス路、バリアフリー重点整備地区や観光ルートに該当するかなど。

 23年度からは2.1㌔のうち0.8㌔が緊急輸送道路に指定されている中央縦線の整備を開始。10年以内での完了を目標としているほか、候補地の▽B―26号線(公設市場から平良港に下りる道、0.3㌔)▽高校東線(宮古郵便局から宮古高校側に延びる道、1.8㌔)―の着手も目指す。

 無電柱化に当たっては、電力線や通信線などをまとめて共同溝に収容するいわゆる「地中化」だけでなく、各道路に応じた最適な手法を検討する。

 例として市内では市場通りで、支持柱に変圧器を取り付ける「ソフト地中化」方式を採用。県内では珍しい手法という。マンホールなど既存施設の活用や事業者との効率的な調整体制構築など、低コストな手段を検討しながら整備を推進していくとしている。

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