入賞3人の栄誉たたえる 宮古島文学賞、4年ぶり対面で授賞式
宮古島市文化協会(饒平名和枝会長)は4日、未来創造センター多目的ホールで、第6回宮古島文学賞の授賞式を開いた。コロナ禍の影響で3年間は小冊子での入賞者紹介にとどめていたが、4年ぶりに対面形式で開催した。作家の椎名誠選考委員長らも来島し、関係者が一堂に集って受賞者3人の栄誉をたたえた。先島を舞台にした歴史小説、「ソラピーの夢」で一席に輝いた高杉晋太郎さんは、「作品を評価いただき大きな励みになった」と語った。
高杉さんは大阪府在住。35年間のサラリーマン生活を終えた3年前から、第二の人生として執筆活動を始めたという。3年間休むことなく書き続け、107作品目の「ソラピーの夢」で一席を射止めた。「古琉球の歴史や多彩な登場人物が広く知れ渡ることが私の夢。執筆という個人作業に没頭している身にとって『作品評価』が世間との唯一の接点であり、大きな励みになることを痛感した」と喜びを語った。
二席を受賞したのは神奈川県在住の見坂卓郎さん。「檻の魚」と題し、不登校の少年と家族の物語を描いた。「宮古島文学賞がスタートした年は、ちょうど私が小説らしきものを書き始めた年だった。いつか受賞出来たらと思い何度も応募を重ねた。へこたれずに受賞にこぎ着けた自分をほめてあげたい」と述べた。
佳作を受賞したのは宮古島市出身で北中城村在住の玉元清さん。「カルロタコ、食べますか?」と題したファンタジックな作品で、3度目の佳作に選ばれた。「選考委員の皆さまのご苦労と責任感に感謝するとともに、市文化協会の活動に敬意を表したい。みなさんの活動は着実に島に文化の華を咲かせている」と話した。
饒平名会長は「応募して下さった方や選考委員の皆さまを始め、関係者の皆様に心から感謝している」と述べるとともに、「『島』を紡ぐ特徴ある文学賞が多くの皆さまに愛されるよう、全国に向けて発信していきたい」と改めて強い決意を示した。
椎名選考委員長は「第1回から携わっているが、こうした立派な会場で受賞者の皆さんの話を聞くことができ、思い出されることも多い。コロナという大きな妨げがありながら、こうした地道で実直な文学賞が年を重ね、成長していることは大変なこと」と語った。