薬物など水際阻止へ連携 宮古地区協議会が発足
沖縄地区税関蜜輸出入取締対策宮古地区協議会(会長・備瀬一太石垣税関支署平良出張所長)が28日、平良港湾合同庁舎で開かれ、検察庁、警察、海保、入管、国税など関係機関が一堂に会し、アフターコロナの人流や物流再開に伴う不正薬物など蜜輸入の水際阻止に向け、連携体制の強化を図ることを確認した。宮古地区協議会は、「先島地区」から分離して2020年に発足予定だったが、コロナ禍の影響もあり、今回が初めての開催。
協議会は不正薬物や拳銃など社会悪物品の密輸入の防止・摘発及びテロ対策などで関係機関が協力を強化することが目的。沖縄地区税関石垣税関支署平良出張所をはじめ、那覇地方検察庁平良支部、宮古島海上保安部、宮古島警察署、福岡出入国管理局那覇支局宮古島出張所、宮古島税務署で構成している。
備瀬所長は、コロナ後で復活する国際クルーズ船、国際航空定期便、外国貿易船による人流、物流のほか、洋上で船から船に積み荷を移動する、いわゆる「瀬取り」による密輸が懸念されると指摘。この上で「協議会を通して相互理解、信頼が深まり、連携を強固にして水際取締の成果につなげる」と祈念した。
宮古島署の仲宗根宗信署長は、県警の22年における薬物検挙212人のうち、大麻事犯が全体の8割となり、10代、20代が6割以上を占めて低年齢化していると報告。「宮古島で国際クルーズ船再開が見込まれ、国際旅客の増加に伴う密輸入のリスクも高まる恐れがあり、連携の強化が必要」と述べた。
宮古島海保の福本拓也部長は、アフターコロナを見据えて密輸入事犯の発生の懸念が急速に高まっていとし、「協議会を契機に得意分野を惜しみなく出し合って協力して連携の質を高めることが肝要。洋上における高い監視・取締能力をフルに発揮し、宮古島を密輸入の拠点にすることは絶対許さない信念で取り組む」と決意を表わした。
沖縄地区税関がまとめた22年取締実績によると、不正薬物の摘発件数は18件と前年比45%減、押収量は約995㌘で88%減となった。うちMDMA(合成麻薬)は2年8カ月ぶりに航空旅客から摘発があり、押収量は過去最多の約22㌘、1933錠となった。このほか銃砲等は摘発3件、押収4丁、ワシントン条約違反は1件の摘発で、イボイモリ6体を不正に密輸出しようとした。