苧麻糸と上布合同展示 成果作品など紹介、体験も
宮古苧麻績み保存会の「苧麻糸展示会~島で受け継がれる苧麻糸の手技~」、宮古上布保持団体の「コレクション展~むら巡りツアー」が18日、市歴史文化資料館で開催された。それぞれ伝承者養成講習で製作した苧麻糸や宮古上布をはじめ、苧麻績み保存会はこれまで研修生が作った苧麻糸による試織布、上布保持団体は復元した琉球王朝時代の御絵図柄の作品などを展示。原材料の苧麻糸と最終製品の宮古上布を合同展示することで、会員や研修生の意欲向上、上布には欠かせない苧麻糸への関心を広げようと行われた。19日まで。
設立20周年となる2022年度の伝承者養成講習は宮古・多良間で18教室、80人が研修を受けた。昨年までは新型コロナの影響で自宅での研修も多く苧麻をつないだだけの糸も目立ったが、今回は撚り掛けまで終えて製品に仕上げた糸(カシ)が出展された。ブー引きやブーンミ、撚り掛けの体験も行われた。
西原1教室で研修3年目の仲間絹代さん(65)は「最初は少しずつしかできなかった。一生懸命やって形になったことが嬉しい」と自分の出展作品に見入り、「苧麻績みは糸も績む人も少ないと聞いたので退職してから始めた。今ではとても楽しみになっている。家で時間あればいつでもやっている」と話した。
苧麻績み保存会の漢那明美会長は「たくさんの糸が出展され、3年目の研修生は力を付けている。研修が終われば個人で績んで販売することになるので、保存会でも何らかの形で応援したい」と述べ、合同開催については「10ヨミ、100㌘前後の上布の糸を目指している。績み手は糸がどんな製品になるか分からない。上布に使われているのを見ることでやる気も出てくると思う」と話した。
上布保持団体は復元した御絵図柄や伝承者養成講座の成果品の着尺、技術研究事業として会員の技術の粋を集めて織られた着尺「春秋草花」などを展示。10ヨミの重さが70㌘、100㌘、130㌘と太さの異なる糸で織った布を触って風合いの違いを体験するコーナーも設けた。
上布保持団体の新里玲子代表は「苧麻糸がこうした布になることを見れば糸績みにも力が入ると思う。技術者を育てても継続するには糸を広げていく必要がある。苧麻績み保存会と協力して島ぐるみの動きにしていきたい」と話した。