下地前市長の有罪確定 最高裁に上告せず
【那覇支局】市上野野原の陸上自衛隊駐屯地の用地取得を巡る贈収賄事件で国への用地売却の見返りに現金600万円を受け取ったとして、収賄罪に問われた前市長の下地敏彦被告(77)を懲役3年、執行猶予5年、追徴金600万円とした福岡高裁那覇支部の判決が20日、確定した。19日の期日までに上告しなかった。
下地被告は市議会での陸自配備の受け入れ表明については政治的立場の表明に過ぎず、収賄罪の「職務」には該当しないと主張。現金を受け取った事実は認めながらも政治献金であるとの認識で賄賂性の認識は無かったとし、一審、二審ともに無罪を主張していた。
5日の二審判決では、人目を避けるために東京都で現金を受け取っていたことや多額の金額であったことを指摘し、「被告は受け取った現金が表明に対する謝礼の趣旨を含むものであると認識していたと認められる」とし、「被告に賄賂性の認識があるとした一審の判決の事実認定が不合理なものと認められない」として下地被告の控訴を棄却していた。
これまでの判決によると、下地被告は自身の受け入れ表明によって、元会社役員の男性=贈賄罪で有罪確定=の所有地を国に売却できた見返りと知りながら、2018年5月24日、東京都内で元会社役員の男性から現金600万円を受け取った。