リゾート計画を疑問視 下地島空港の周辺跡地利活用 市議会一般質問
宮古島市(座喜味一幸市長)は16日、下地島空港周辺跡地利活用について、1社による大規模なリゾート開発が計画されていることに強い疑問を表明した。市議会12月定例会の一般質問で、新里匠氏に対する伊川秀樹副市長の答弁。副市長は「1社が279㌶を開発するのはいかがなものか。課題の議論もされていない」と述べた。利活用を推進するために県が農家に県有地の明け渡しを求めているが、農家らは段階的明け渡しなどを求め反発している。
下地島空港周辺の県有地は1971年、当時の琉球政府が同空港建設に伴い用地を買収したもの。地元住民と交わされた「無償耕作を認めるが明け渡し時に補償は行わない」との確認書に基づき、県が観光ゾーンに指定された約279㌶の明け渡しを求めている。
新里氏は11月に伊良部で開かれた説明会が県と市の共催だったことに「農業者が生活のために使用している土地を無条件に返せというのが県の趣旨。市長はこれを良しとしているのか」と見解をただした。
座喜味市長は「大変重要な案件で、県の要望を受けて地元対応のために出席している。現在行われている生産活動をどう確保していくのかも含めてしっかりと県の跡地利用を見ていきたい」と述べた。
新里氏はまた、第3期利活用計画で選定された7事業者のうち6社は空港内の事業であり、1社が279㌶のリゾート開発を担うことを指摘。「一社で開発できるのか。農業する土地を残してほしい」と求めた。
利活用促進検討委員会で委員を務めている伊川副市長は「これだけの大規模事業を1つの事業者がやることに加え、水やごみ、景観などの課題を議論せずに事業を進めていくことに対し、市としていかがなものかということを強く申し入れている」と答弁した。また通信事業による電磁波の影響など、周辺住民にしっかりとした説明が必要との認識を示した。
下地島南部には、市が県から購入して農家に有償で貸し出している約85㌶の農地もある。市有地の拡大について副市長は「以前は原野の価格で購入できたが、今はリゾート見込み地として一等地に近い。購入するには財政的な負担などの課題がある」と述べた。