国の重要文化財に指定する答申を受けた、 「琉球国王朱印状〈大首里大屋子充万暦二十三年八月廿九日〉」 =写真提供:沖縄県立博物館・美術館

「琉球国王朱印状」国、重要文化財指定へ 宮古関係古琉球の書状

 【那覇支局】国の文化審議会(佐藤信会長)は18日、沖縄県などが所有する古文書2件、歴史資料1件の計3件を重要文化財に指定するよう永岡桂子文部科学相に答申した。近く官報告示で正式指定される。このうち古文書の「琉球国王朱印状」〈大首里大屋子充(おほしゅりおほやこあて)/万暦(ばんれき)二十三年八月廿九日〉の1幅は、16世紀の古琉球時代の宮古島に関する唯一の書状で、第一級史料として評価された。
 琉球国王朱印状は国王が官人などを任用する際や、知行地などを給与する際に発給した公的な文書で、国宝の朱方印(首里印)が捺されることから「御朱印」「御印判」、琉球史研究上は「辞令書」とも呼ばれる。
 同状は縦28・7㌢、横83・7㌢の国王から宮古島の「下地の大首里大屋子(おほしゅりおほやこ)」に与えられた書状で、現存する朱印状中、唯一の三紙継ぎで全長が最も長く、16世紀の古琉球時代(第二尚氏)の宮古島に関する唯一の書状となっている。古琉球研究の第一級史料と評価され、戦災で多くの史料が失われた沖縄において、古琉球の貴重な文字資料として古文書学及び琉球史研究で重要と認められた。県所有で県立博物館・美術館が保管。
 国指定の答申を受け、玉城デニー知事は「3件が国指定の重要文化財に指定されることを嬉しく思う。琉球国王朱印状は古琉球の宮古島に関する貴重な資料。今後ともこれらの資料を保管する県立博物館・美術館らと連携し、文化財の保存・公開活用に努めたい」とコメントした。
 このほかの国指定答申があったのは、古文書の「銘苅家文書(めかるけもんじょ)」(県所有、県立博物館・美術館保管)と歴史資料の「上江洲(うえず)家関係資料」(個人所有、寄託で久米島博物館保管)。今回、新たに3件が指定を受けると、県内の国指定有形文化財は国宝の2件を含む計41件となる。

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