地産地消フォーラムで意見を交わした北林さん(左上)、宜保さん(右上)、久保さん(左下)、國仲さん =未来創造センター多目的ホール

地産地消の取組み紹介 4氏が意見交わす

 宮古島市(座喜味一幸市長)は重要政策として、地産地消の推進を通した市民所得向上を目指している。市産業振興局は15日、未来創造センターで、「食から見る地域経済」をテーマにフォーラムを開催。同局で市地域プロジェクトマネージャーを務める北林大さん、県学校栄養士会の宜保律子会長、宮古地区農業士会前会長の久保弘美さん、狩俣自治会の國仲義隆会長がそれぞれ取り組みなどを紹介し、地産地消の更なる推進に向け意見を交わした。
 北林さんは市を訪れる観光客が100万人を突破したものの、建設業以外はそれほど大きな経済効果を得られなかった実態を紹介。地域に入ったお金が食材費、人件費などで域外に漏れていく「経済の漏れバケツ」に陥っているとした。地域内で消費される金額が1割と7割の場合を比較すると約20倍以上の経済効果となり、地域内で消費が循環することが市民所得向上につながるという。
 宜保さんは学校給食での地元食材利用率が、2020年度の11・2%から21年度は17%に上昇したことを紹介。生産者・加工業者と学校栄養士が定期的に意見交換したことや、JAや伊良部漁協など関係機関との連携が進んだことが功を奏したとした。
 久保さんは市からの情報提供で給食にほぼ毎日ニンジンが使われていることを知り、宮古地区のJA青壮年部が生産を開始した事例などを説明。大きさなどの理由から規格外になり、大消費地に出荷できない野菜を給食に提供することも可能になったという。
 狩俣自治会はコロナ禍で開催できない敬老会の代わりとして各家庭にオードブルを配っているが、地域外の業者に注文していたものを、地元の主婦の手作りに切り替えた。國仲会長は「地元食材を使い、地域の農家や主婦にも直接お金がわたる。弁当作りに携わっている人たちが生き生きとしていて、地産地消を通して地域に生きがいや幸せが広がっている」と語った。
 要望を受けて狩俣幼稚園に弁当の配食を開始したことや、追い込み漁や養殖モズクを6次産業化し、生産者の収入増加や販路拡大につなげた事例も紹介。同自治会は20年4月に執行部が40代に若返ったことを機に、持続可能な地域づくりを目指しさまざまな取り組みを展開している。

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