サシバの保護訴える 伊良部島でパトロール
2022年度サシバ保護合同パトロール(主催・宮古島市)が7日、伊良部島内で行われた。宮古野鳥の会や伊良部島小中学校の児童生徒会、市・県の関係者、警察などが参加し、サシバの保護や中継地の環境保全などを呼び掛けた。50年目となるサシバ飛来数調査は8日から始まり、旧市役所伊良部庁舎の解体に伴いことしから伊良部地区津波避難施設(東地区構造改善センター敷地内)の屋上で実施される。
出発式が同津波避難施設で行われ、市環境衛生局の下地睦子局長(代読)が「サシバの飛来数は年々減少傾向にあり、2010年以降は1万羽を下回る年も少しずつ確認されている。市の鳥でもあるサシバが、これからもこの島を中継地として安心して飛来できるよう、地域の皆さんと手を取り合い保護に取り組んでいきたい」とあいさつした。
野鳥の会の仲地邦博会長はサシバの観察のコツを説明し、飛来数の減少傾向について「森林率の悪化が一番の原因だと思う。中継地として伊良部・宮古島の役割が悪くなっていると考えられる。リュウキュウマツなどが増えてサシバが降りて休み、そして南に渡れるように皆さんも協力してほしい」と話した。
伊良部島小中を代表して仲間泰心さん(9年)が「伊良部島でもサシバが休息する自然が減っている。私たちが環境保全に真剣に取り組まなければならない。1羽でも多くのサシバがこの伊良部島を渡り、寒い冬を乗り越え、また次の年も空一面に秋の訪れを告げてくれることを願っている」と決意を表明した。
飛来数調査は8日から21日正午~午後6時、野鳥の会や県鳥獣保護管理員らによって行われ、誰でも参加できる。21年の飛来数は6844羽と過去10年間でワースト2位だった。1日当たりで最も多かったのは10月15日の1831羽。調査期間前の飛来や他調査地での飛来数、台風の影響などから渡りが早かったと推測されている。
サシバは本土で繁殖し、毎年「寒露」の時季になると宮古・伊良部島を中継して東南アジアに渡って越冬する。ワシントン条約で国際的取引が規制され、また鳥獣保護管理法によって捕獲が禁止されている。環境省版レッドデータリストでは絶滅危惧Ⅱ類に位置付けられている。