3年ぶりに現れたパーントゥが子どもたちの厄を払った
=平良島尻
3年ぶりパーントゥ現る 平良島尻、無病息災願い厄除け
ユネスコ無形文化遺産で国の重要無形民俗文化財に指定されている「パーントゥ」が5日、平良島尻で始まった。3年ぶりに現れた泥まみれの来訪神が集落を駆け回り、島内外から詰めかけた大勢の人に泥をなすりつけた。集まった親たちは無病息災を願って厄除けをしてもらおうとこぞって我が子を差し出していたが、恐怖のあまり泣き叫ぶ幼子の声が響き渡った。歓声を上げて自分から抱き着く見物客も多く見られた。
キャーンと呼ばれるつる草を身にまとい、仮面と杖を手にした3体のパーントゥが午後5時前、集落の離れにあるンマリガー(生まれ井戸)から出現。人々の恐怖心と好奇心が交錯する独特の雰囲気の中、容赦なく泥を塗りつけながら集落を駆け巡った。
3歳の男の子と4カ月の女の子を連れて来ていた川田佐和子さん(41)は「上の子は0歳の時に厄を払ってもらった。下の子が泣き声一つ上げないのでびっくりしている。健康第一に育ってほしい」と語った。
新里望天くん(14)は「祖母の家が島尻にある。子どもの頃は怖かったけど、3年ぶりのパーントゥが楽しみで来た」と話した。
スイスからたまたま旅行に来ていて居合わせたというジョン・ゴベさん(70)は、「スイスのレッチェンタールにも、恐ろしいマスクを着けた神様が来て悪い精神を追い払う祭りがある。似ているけど、泥をぬりたくったりはしない。とても楽しい」と笑顔だった。
高校生まで島尻に住んでいたという伊川秀樹副市長は「大切な伝統行事で3年ぶりの開催は非常にうれしい。安心安全のうちに無事終わってほしい」と述べた。
宮古島のパーントゥは島尻と上野野原地区に伝わる祭祀行事。いずれも来訪神の仮面を着けた異形の神が集落を練り歩き、厄払いを行う。島尻地区ではコロナ禍で3年ぶりの実施。きょう6日も行われる。