LNG受入施設を整備 平良港長期構想検討委
宮古島市は6日、平良港ターミナルビルで、同港を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、20~30年先を見据えた総合的な港湾計画のあり方について検討する「平良港長期構想検討委員会」の第2回会合を開催。物流やクルーズ船対応機能の拡充に加え、液化天然ガス(LNG)など環境負荷の低いエネルギーの受入施設整備、太陽光や洋上風力発電などの導入を通して、脱炭素社会構築に寄与する構想が示された。コロナ後の海外クルーズ船寄港再開によるオーバーツーリズム対策についても意見が交わされた。
長期構想案では平良港を宮古圏域が抱える課題を克服するための最も重要な社会資本のひとつとして、生活・産業を支える物流拠点▽東アジアにおけるクルーズ寄港地としての交流拠点▽持続可能な地域を実現するエネルギー供給拠点―などの役割を想定。輸送機能の強化やLNG受入施設整備、港湾での再生可能エネルギー関連施設導入といった施策や取り組みを展開するとしている。
沖縄電力の宮古第二発電所では昨年10月から、重油とLNGを任意に切り替え可能なデュアルフューエルエンジン2機が稼働しているが、市にLNG受入施設がないため、現在は重油のみを使用している。このため平良港に、小型内航船での受入・貯蔵が可能な施設を整備。LNGローリーにより島内運送を行う。
長期的にはLNG・水素タンカー対応施設や太陽光・洋上風力・波力発電を導入し、脱炭素化に配慮した港湾施設機能の高度化を図るとしている。
平良港では22万㌧級に対応したクルーズ船専用岸壁の供用が開始されているほか、漲水地区で延伸工事を行っている耐震バースも、貨物船とクルーズ船双方に対応する計画。
コロナ禍で外国からのクルーズ船受け入れは停止しているが、アフターコロナを見据えた再開が検討されている。長期構想案では住民生活の負担にならないよう質の高い観光を目指し、二次交通不足などに対応する必要があるとした。
委員からは「市では住民の動線とクルーズ客の動線が重なったことが、オーバーツーリズムと感じられた一因。観光やショッピングを分散することが重要」との意見があった。
中心市街地と連続的な賑わい空間の創出や親水空間の提供、防災機能強化などの構想も示された。