県知事選まで1カ月  三つ巴の公算大

【那覇支局】9月11日投開票の県知事選(8月25日告示)まで、1カ月を切った。「オール沖縄」が支援する現職の玉城デニー氏(62)=立民、社民、れいわ推薦=、新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(58)=自民、公明推薦=、新人で前衆議院議員の下地幹郎氏(60)が立候補を表明しており、三つ巴の状況となっている。新型コロナウイルスからの県経済の回復や米軍普天間飛行場の辺野古移設などが主要な争点になる。3氏とも事務所開きを行っており、県内政局の天王山を迎える。


 玉城氏は1期4年の実績を強調。291の公約全てに着手したと説明。玉城氏は普天間飛行場の辺野古移設に対して「反対」の姿勢を示し、「昨年11月には辺野古の埋め立て変更を不承認にした。辺野古移設は普天間の危険性除去の解決につながらない」と強調し、「反対」の姿勢を鮮明にしている。
 佐喜真氏は政府とのパイプを強調。予算の増額を図ることで、県経済対策の立て直しを進め、経済回復や県民の暮らしの向上に寄与するとしている。前回(2018年)の県知事選で敗れた玉城氏へのリベンジを目指す。普天間飛行場の辺野古移設は普天間飛行場の危険性除去の観点から「容認する」との立場で30年までの普天間飛行場の返還を実現するとしている。
 下地氏は「国に頼らない沖縄」を目指すとし、大学までの教育費無償化や航空や船運賃の低額など、民間のノウハウを活用するPFIなど独自の政策を打ち出し、支持層の拡大を図る。辺野古移設に関しても、「埋立て済の土地は活用し、残りは馬毛島(鹿児島県)への訓練移転を提案し、軟弱地盤の埋め立てはさせない」と一線を画す新機軸を示した。
 7月に実施された参院選では「オール沖縄」、自公ともに県知事選へのセット戦術を展開。結果は自民新人が2888票差で「オール沖縄」が支援する現職に惜敗した。自民はことしに入って名護、南城、石垣、沖縄の4市長選に勝利していただけに、戦略の練り直しを迫られる結果になった。
 「オール沖縄」も薄氷の勝利だったことから、戦略の立て直しが求められる。下地氏が立候補を表明したことで、保守分裂によるプラス面が指摘されるが、下地氏が辺野古移設の解決策を示していることから、どこまで有利か不透明な部分も多い。選挙戦は一層、混沌の様子を見せている。

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